ローンを払えなくなったら、まず考えること
ローンが払えなくなっちゃったよ・・・
新型コロナウイルス感染拡大による経済の悪化で、ローンの支払いを今後どうするか、ひそかな問題になっています。 あるアンケートによると、約7割の人がコロナの影響で、何らかのローン支払い不安を抱いているそうです。
ローンについては、借りている側にとっては「返せなくなる」リスクが常にあります。 一方、貸している側の金融機関(銀行など)にとっては、「貸したお金が回収できず不良債権化する」リスクがあります。リスクはお互い様です。
ここで、債務者側(借りている側)として避けたいことを考えます。
【タブーⅠ】自己破産
生真面目な債務者で、「払いたいが払えない」と思い悩んで自己破産を安直に選ぶ人がいます。
自己破産は、法的に金銭債務から逃れることができる強力な手段ですが、アウトローな方ならともかく、真面目に生きいる人にとっては利口な方法ではありません。
リーマンショックの時も頻繁に見受けられたのですが、最終的に返済できずに借主に自己破産されると、金融機関は貸したお金を回収できなくなります。
銀行は、自己破産した人に追い込みをかけるようなことはしませんが、今後の借金の審査は永遠に通らなくなります。破産者リストにも時効があるように思いがちですが、金融機関はそんな重要リストは永久に手放しません。
勘違いしてはいけないのは、「お金を借りている人」が弱者で「金融機関」が強者だという図式を信じてしまうことです。 現実の世界では、「お金を借りている人」の方が強く、債権者(お金を貸している人)の方が弱いものです。そのため、非合法の金融屋は法を犯すような厳しい追い込みをして、社会面を飾るわけです(もし強ければ、堂々と法的手段で強制執行をかければよいだけです)。
つまり、債務者が「自己破産」キーワードを金融機関に告げてしまうと、本気のケンカになり、信頼関係も何もかもが崩れ落ちます。 金融機関は、貸したお金の一割でも回収しようと、無茶な強制執行すらやりかねません。
上手くやりくりするコツとしては、このような苦境でも金融機関との信頼関係を崩さないことです。
で、どうするの? 信頼関係って?
「やらないと言っていたことをやってしまった。犯罪に手を貸してしまった。」
などは、間違いなく信頼関係を壊しますが、「コロナで借金の返済がままならない」というケースは、これに当てはまりません。
例えば、住宅ローンには、政府の支援はほぼ期待できません。住宅は消費するものではなく、手に入れてしまえば資産になるという発想が根本にあるからです。
控除などを受ければ、多少は税金を安くできる人もいるはずですが、現在借金中の住宅ローンを返済できないという人は、どうするべきでしょうか?
自己破産?
自己破産は最終手段です。まずは、借りている金融機関と話し合いをすることです。 各金融機関は、支払いが苦しくなった人のために、それでも返済を続けてもらうための方策を持っているのが普通です。
金融機関には、「それでもしっかり返済は続けるので、対処してくれ」と、「返済の意志」をしっかり示し続けることです。ひたすら「返せなくなった」ばかり、言い訳がましく事故のようにふるまうと、返済の意志が感じられないとして、金融機関は強制執行の方に傾くリスクがあります。
返せなくても、これだけは絶対にするな!
返せなくても、これだけは絶対にするな
- 催促の放置
- 安易なキャッシングで埋め合わせ
多くのローンは、返済が1日遅れただけでも、金融機関から催促の電話等がきます。 続けて、督促状も届きます。 これらの催促をそのまま放置しておくと、後々、大事故になります。 つまり、期限の利益を失い、一括返済を求められるという本当の地獄に連れていかれます。
社会的に信用の高い銀行のような金融機関でも、普通は2カ月間支払いが行われないと、事故情報(延滞情報)が登録され、ブラックリスト入りします。 これで、今後の借金等の金融的な優遇措置は受けられなくなります。 中には2カ月間どころか、1カ月の不払いで事故扱いになることもあります。
それを分かっている人は、催促を無視しないにせよ、「なんとかしなくては」と思いつめ、自力でお金を工面しようとしがちです。
それなりのキャリアがある会社員の場合、体面にこだわり「返せなくなりました」と銀行に言い出せない人もいます。 それでも給料はゼロではないので、手軽に借りられるキャッシングなどでお金を都合して返すケースがあります。
「ローンが返せない」から、安易にキャッシングして埋め合わせることは、絶対にしてはいけないタブーです。
【タブーⅡ】安易にキャッシングしてその月をしのぐ
簡単なことです。その場ではなんとかそれで無事返済できても、まだコロナ不況は続くと考えられます。しかも、二年以上続くという見積もりすらあります。 そのたびにキャッシングの残高を増やして、毎月の返済額も増やすということは、冷静に考えればバカげていることぐらいわかります。
本当の借金地獄は、安易なキャッシングが引き金!
コロナで実質給料が減った人は数多いと思います。 手当がつかなくなったなども、実質上の減給と同じです。 常識的には、これらは景気が回復しても、元のように戻るまでには相当の時間を要します。多くの企業は、これを機会にムダに気づいてしまうので、ムダだと判断された部分はもう取り戻せないかもしれません。
普通の企業は、従業員の給料カットまでには、かなりのダメージを伴います。 会社が危ないから給料をカットするというような単純なプロセスではありません。 おそらく、取引先も渋りだし、取引量が減り、やむをえずに従業員の給料カットに至っているはずです。一度減らされた取引量は、簡単には元に戻りません。お互いの会社でコストを見直し、より利益の出る新しい取引先を見つけようとするからです。
この状況の中で、金利が15~18%と高利なキャッシングに安易に手を出したら、将来的に実質給料が減り続けるリスクの中で、毎月の支払額だけ膨らませることになります。 つまり、借りれば借りるほど、雪だるま式に膨れ上がる、借金地獄に向かっているわけです。
金融機関は、他社から借り入れてでも返済してほしいのか?
「ミナミの帝王」などを観ると、「借りた金は返す、返せなかったら腎臓売れ、それで借りてでも返せ」なんてセリフが飛び交いますが、普通の銀行などでは、実際はそうでもありません。
銀行などの金融機関にとっては、「ローンを返済するために、他の金融業者から借金する」というのは、嫌な解決策の最たるものです。 全額が借りられるわけでもなければ、結局はドロンとなるリスクが高いからです。
そもそも、解決策なのかどうかも怪しいものです。
ただし、例外的に親や兄弟など身内の場合は好意的に受け取られることがあります。 それ以外の、たとえば金融業者の場合、貸し付けの時に、ローンの残っている不動産に後順位番抵当権を付けることがあります。
抵当権そのものは、収益権ではないのでつけられたところで「借金できればそれでいい」とも言えるのですが、今度はその不動産を担保に借金したり、また売却したりできなくなります。できないというのは不可という意味ではなく、本来の不動産価値の価格で売却したり借りたりできなくなるということです。
不動産を売却するときに、少しでも高く売却するために抵当権を外してもらう必要があります。もちろん、タダでははずしてもらえません。借りた金額+利息をしっかり返済して、はずしてもらう必要があるわけです。
3つの方法を踏まえて、金融機関と相談せよ!
金融機関(銀行など)は、金融の専門家です。 支払いが困難になった人や会社を見抜く専門家です。 それと同時に、その対応策もしっかり持っているのが金融機関(銀行など)です。
そのため、支払いが困難になったと金融機関に悟られる前に出向いて相談すれば、道がひられる可能性大です。
逆に、バレバレになってから出向くと、「倹約+財産処分」の解決策ベースになるので、道は明るく感じませんね。
返済困難の対処方法3つ
- 返済期間を延ばしてもらう
- 期間限定で、一定期間に限り、毎月の返済額を減らしてもらう
- ボーナス返済はやめてしまう
返済は続けるので、返済期間と毎月の返済減額を!
多くの銀行に代表される金融機関は「返済期間の延長」+「返済額を一定期間減額」 の組み合わせ対応をしてくれます。
特に、今回のようなコロナ災害の場合、金融庁からの強い要請もあるようで、意外とスムーズに応じてくれます。
だから、キャッシング返済のような単細胞な解決策はとらずに、直球勝負で日本男児、あるいは大和なでしこ魂をぶつけて、借金した金融機関に直接相談に乗ってもらうのがベストだといえます。
ボーナス返済はやめてしまう
返済期間と毎月の返済減額は、まともな金融機関なら相談に乗ってくれるので、その時に切り出しておかなければならないキーワードがあります。
それは、
ボーナス返済をやめたいんだけど・・・
ということです。
先ほどの「返済期間を延ばしてもらう」方法を選べば、もちろんローンの総返済額は増えます。
「期間限定で毎月の返済額を減らしてもらう」場合は、将来の返済総額が増えてしまいます。
対処方法 | デメリット |
---|---|
返済期間の延長 | ローンの総返済額が増える |
毎月の返済減額 | 将来の返済総額が増える |
これだけでも、ヤバい時には助かったと感じるものですが、まだまだ冷静になっておく必要があります。
それは「ボーナス返済」で、会社経営が苦しくなると、真っ先に減らされるのが残業代やボーナスだからです。
現況では、ボーナスを見込んで返済計画を立ててしまうと、再び同じ境地に陥る可能性が高いわけです。ボーナス払い〇〇万円は、今後のリスクを見込んで見直すことを強くお勧めします。
ボーナス払いの落とし穴を知る!
毎月のローン返済額が9万円、ボーナス月は40万円だとします。 一見、毎月9万円ずつ返済して、時々40万円返済するボーナス月があるように誤解してしまいがちです。
これは間違いで、ボーナス月は
毎月の返済額+ボーナス月の返済額=9万円+40万円
を返済額(49万円)に充てる必要があります。 ボーナスで支払えていた時は、切り抜けられますが、ボーナスが出なかった場合はその40万円をどこから絞り出すか、半年ごとに知恵を絞らなくてはなりません。
このリスクは今後高くなるので、「ボーナス払いをやめて、月々の支払い額を増額」することでリスクヘッジするのです。 もし、ボーナスがこれまで通りに出れば、そのボーナスを振り分ければよいだけですので、生活は変わりません。
ボーナス・カットになった場合は、毎月の生活は厳しくなりますが、耐えられないほどきつくもならないでしょう。 「ボーナス払いをやめる」というのは、年間の支払額の配分を変更するにすぎないので、金融機関はまず拒否しません。返済プランを見直すなら、必ず「ボーナス払い」も同時に見直し検討しましょう。
まとめ
まとめ
- 金融機関との信頼関係維持してしのぐ
- 安易な解決策は借金地獄への道
- 返済期間と毎月減額、ボーナス返済まで見直す
そこが人生一番の勝負さ!