「らくらく投資」はホントに楽か?
投資ってなんかメンドクセー?
投資家の代わりに資産運用のアドバイスや運用の手伝いをしてくれる、ロボアドバイザー(ロボアド)というサービスがあります。 もともとのネタは、以下のような感じのAIを、民間でも利用できるように発展させたものです
前半は小生の能書きですので、お急ぎの方は最後のまとめだけお読みください。 本ページの構成は、「能書き」、「ロボアドバイザー」、「らくらく投資」の順番に構成されています。右手の目次で「らくらく投資」のところまですっ飛ばしていただいて結構です。
一昔前から、ヤバ目の金融業界では一秒間の間に数十回の売りと買いを入れ(HFT:高速高頻度取引)、僅かな利ざやを稼いで積み上げるというAIを使った取引があります。 一回一回の取引で、利ざやそのものは微小で儲けとは言えないレベルのものです。しかし、それは100~300ミリ秒で行われ、何百万回という莫大な回数がこなされるため、トータルでも億の単位の儲けが積み重なります(もともとロシアかどこかの経済ハッカーが開発したシステムらしい)。
一般に、将来の株価は予測不可能だとされます。この表現は不正確で、AIを活用して次に(例えば明日に)株価が上がる下がるかどうか自体はほぼ100パーセントと予測可能という理論があります。 しかし、その理論でも、その上がり幅や下がり幅は正確に絶対に予想不可能です。そのため、株価は上がったけれど、上がり幅がほぼ0なので儲からなかったなどということにもなり、結果的に株価の完璧な予想は不可能であるということです。
この「上がるか下がるかは正確に予測可能」という部分を利用して、細かい売買を繰り替えし、結果的に利益を積み重ねるというのが、いわゆるAI投資のキモです。
最近は、この手のシステム(AIの部分やルール)を自社開発して、利益を上げたいと、どの銀行も証券会社も精を入れています。ただし、膨大な取引を100ミリ秒(まばたき一回分)単位で繰り返すには、それなりのシステム投資が必要になります。そのため、いざトータルとしてどれだけ利益を出せるのか、二番煎じどころかもう少し遅れる日本の金融関係の会社としては微妙な立場ですが、それでも利益そのものはあるみたいです。
大きな金融系の会社が、リスクを許容してシステムを効率よく運用するのは当然です。 これを、一般人用に、利用者のリスク許容度に応じて、最適な資産の組合せ(ポートフォリオ)を確認できるようにすれば(一般には提案すると表現する)、個人でもその恩恵に預かれます。金融会社なら、組織として細かいお金を何万回と売買させることができますが、個人でそんなことされたら、データベースのトランザクションが発生しすぎて深掛かりすぎます。 そのため、証券会社などが、まず組織としてまとめてトランザクションを発生させ、少なからず出た利益を、顧客に還元するのが、ロボアドのコアです。もちろん、予め商品を購入した顧客に手数料を引いて還元するわけですので、顧客の誰もが恩恵に預かれるわけではありません。
商品に関しては、ロボアドが提案してくれます。もちろん、その金融会社の扱うものに限られるわけですので、「顧客がどの銘柄をどう購入する」などというのは、細かく決定できません。要するに、顧客からお金は預かるが、そのお金をどう使うかは顧客は特別細かく指示できないという性質があります。
例えば、ロボアドの「投資一人型」では、顧客が運用資金を入金するだけで、ポートフォリオに応じて自動で買い付けが行われ、顧客が投資初心者であったとしても、簡単に資産運用が自動でできてしまいます。
ロボアドでは、先程の例のようなヤクザ的な投資システムほど高速取引はせず、パフォーマンスは少し劣るとされています。そのため、ポートフォリオのバランスが崩れることがあります。
そめため、一定以上崩れた場合、自動的にリバランスが行われるようになっています。例えば、追加投資や一部出金を行った際、取引後のポートフォリオが最適な配分に近づくように売買する銘柄や口数を選定してくれます。
楽天証券の「らくらく投資」は、この手のサービスの民間還元版です。「らくらく投資」は、スマートフォンに特化したロボアドバイザーサービスで、要はAI投資の一つです。 今後、業界全体としてAIの中身を磨き上げる競争が激化すると確信していますので、今の間に、優れたシステム、将来性のあるシステムに着目しておくことは、今後の投資を成功させる石敷になります。
ロボアドバイザーのメリット・デメリット
メリット
- 運用に割く時間と手間がかからない
- 手数料が安い
- 少額からの投資が可能
ロボアドバイザー(ロボアド)を利用する最も大きな利点(メリット)は、投資や金融に関する高度な知識不要で、資産運用ができる点です。
最低入金額は会社によって異なりますが、100円~10万円前後から始められるため、資金が少ない方でも気軽に利用できます。
「投資一任型」を選べば、買付から資産のリバランスまでを、自動で行ってくれます。そのため、顧客が毎日、投資信託の基準価額を見て売るか買うかを判断る必要はありません。もちろん、投資先について調べることも不要です。
ファンドラップ(投資家が証券会社にお金を預けて運用してもらうサービス)を利用すれば、預かり資産の約2~3%を手数料として要求する会社が大半ですが、ロボアドで行えば、人の代わりに人工知能(AI)が自動でに行うため、大方。手数料が1%程度にまで抑え込まれます。つまり、ロボアドを使うことで、低コストで運用できるわけです。
また、当然ながらデメリットも存在します。
デメリット
- 利益が出るのに時間がかかる
- 元本保証ではない
- NISAに非対応(例外あり)
ロボアドを使う利点(メリット)は、「ほったらかしの自動で、長期的に資産を増やせる」ことです。
資産をロボアドの「投資一任型」で運用する場合は、すぐに解約して売却したり(利益確定)すると、上のメリットが薄れます。値上がりすればロボアドに利益確定するのことを任せ、長期でリバランスしながら運用することで、メリットを最大限に活かせます。
他の投資同様、当然ながら、元本を減らしてしまうリスクはあります。 運用している投資信託は、価格下落リスクのある国内外の債券や株式などで運用するので、そのリスクは心得ておく必要があります。ただし、そのリスクを減らしてくれるのがロボアドでもあるので、投資元本を下回ってしまうようなロボアドは、徹底的に悪評が立ちますので、自然と投資家の耳に入るようになります。
ロボアドのアドバイス型で、投資信託をロポアド任せではなくて、自分で購入する場合は、非課税で投資でききる可能性があります(NISA対応やつみたてNISA対応の銘柄に投資する場合)。 しかし、投資一任型で自動売買する金融商品を見てみると、NISAの非課税対象にならないケースに、大方が該当します。つまり、ロボアドに任せっきりで投資する場合は、原則、NISAには対応しない(ことが多い)と心得ておくほうがいいでしょう。
らくらく投資をチェック
楽天証券が提供する投資一任型のロボアドです。 楽天証券には楽ラップという、投資一任型のロボアドもあるのですが、ここでは「固定報酬型」の管理手数料が、「楽ラップ」の約半分で済んでしまう「らくらく投資」の方を解説します。
「楽ラップ」に慣れていて、ソコソコ利益も出ている人は、「らくらく投資」に切り替えなくてもいいと思います。「楽ラップ」と「らくらく投資」の一番大きな違いは、「らくらく投資」はつみたてNISA口座を選択することができる点です。 しかし、先程述べたように、ロボアドの最大のメリット、任せっきりでやる場合は、さほど恩恵を受けないこともあります。
長期的な資産運用をしたい、でも任せっきりというのも嫌だ、かつ初心者だと言う方は、つみたてNISA口座を使った「らくらく投資」は十分に検討する余地があります。
例えば、つみたてNISA口座と、毎月最大約33,333円の積立投資が可能、かつ、20年間に発生させた売却益には非課税という扱いになります。 投資一任型に躊躇する方は、その節税のメリットを強く感じるかもしれません。
らくらく投資の初期費用は100円!
「楽ラップ」の初期費用は一万円ですが、らくらく投資の初期費用は100円になっています。通常の投資信託を買う金額と同じです。
毎月のつみたて金額も100円から設定できて、100円を超えるものは1円単位で設定できるのも、「楽ラップ」との違いでしょう。スポット購入の場合は、100円から購入できます。
つまり、「らくらく投資」は「楽ラップ」より、初心者の参入を狙ったサービスになります。
らくらく投資は楽天カードクレジット決済に対応
楽ラップ(つみたて投資)では、投資資金を事前に証券口座内に準備しておく必要があります。 投資する場合、スマホアプリ(もしくはATM)などで、証券口座への入金作業がまず前提として必要です。
一方、「らくらく投資」では、その手間がいらず、楽天カードでのクレジット決済を選択して、即投資を始めることができます。
楽天カードに限ることではありますが、クレジット決済は「らくらく投資」の最大の賣りですのて、カードをお持ちの方は積極的に利用することをオススメします。
楽天カードから、カード決済額100円につき楽天ポイント1ポイントが付与されるので、楽天経済圏では極めて有効な補助になります。
例をあげると、つみたてNISA口座で毎月3万円を楽天カードクレジット決済で設定するとしましょう。この場合、ポイント還元率1%(300ポイント)が何もせずに手に入るため、楽天ブックスで適当な電子書籍を無料で買えるとも言えます。
以上の理由で、「らくらく投資」で楽天カードクレジット決済を行わない場合は、特に初心者や少額投資家はメリットが少ないとも言えるので、楽天カードをお持ちでない場合は作成したほうがお得です。
楽ラップでは、いくらつみたてたところで、楽天ポイントは手に入りませんので、「らくらく投資」は、やはり初心者に優しいサービスです。
楽天カードクレジット決済をするメリット
- 証券口座にメンドウな入金作業不要
- (5万円までの)楽天ポイントがもらえる
らくらく投資のポイント投資をチェック
楽天の通常ポイントを使ったポイント投資は、「らくらく投資」でも可能です。
そして、ポイント投資を始めることで、楽天市場での買い物ポイント倍率を+1倍上乗せになります(ちなみにポイント投資の設定は、1ポイントで大丈夫)。 楽天経済圏の方は、「楽天市場+楽天カード+楽天証券」のセット利用がキモになります。
「楽天銀行」と「楽天モバイル」も利用すれば、楽天経済圏ではかなりお得ですので、金銭感覚が敏感な主婦の方は、要チェックですね。
「楽ラップ」は「らくらく投資」より劣っているのか?
ここまで、「らくらく投資」を持ち上げてきましたが、あくまで小金稼ぎというテーマに則っての話です。 「らくらく投資」は「楽ラップ」より、投資初心者を対象としているので、初心者向けに説明しやすい、分かりやすいメリットが多くあります。 本気で投資をして、それで飯を食っている方は「楽天ポイント」なんてまず気にしません。それより、ホントに儲かるのかどうか、サービスとしてどうなのということだけに注目します。
例えば、「楽ラップ」だけにあるもので「DRC機能」というものがあります。 株式市場の値動きが大きくなって、その状況が続くと予想される場合は、一時的に株式の投資比率を下げ、債券の投資比率を上げて、資産全体の値動きのブレを抑える機能のことです。 これは、いわゆる下落ショック軽減機能というやつで、株価が下がり続けるような場合はそのショック(損失)を抑えてくれるわけです。
こんなすごい機能が、なぜ「らくらく投資」に無いのかと思う人もいるとは思います。それは、実のところこの機能は、初心者にとってはさほど有効に働かないことが多いからです。 株価は下がり続けると判断した頃には、上昇に転じていることが多く、DRC機能で損失を抑えモードに入った途端、株価が上昇し始めるケースの場合、その株価の上昇分の利益の恩恵に預かれなくなるからです。
端折って言えば、株価が下落して損したけど、その後株価が戻ったので、「結果的には損していない」という状態に落ち着くはずが、DRC機能を発動させたために、株価が上昇する局面で「株を持っていない(代りに債権に投資してしまっている)」という状態になります。ほったらかしておけば「損得0」で済んだものが、損が少し残るケースになります。
DRC機能は、ビビリの初心者には、必ずしもやさしい機能ではないことがわかると思います。そのため、ある程度、投資の中身を理解できて、リスクを甘受でききる人向けの「楽ラップ」にだけるというわけですね。ほったらかし投資には、必ずしも有益とは言えず、機能ま使い所も微妙ですね。
らくらく投資のまとめ
「らくらく投資」の今後のパフォーマンスが楽しみですが、興味を持たれた方は上のポイントに絞ってチェックしてみてください。
らくらく投資だけにしてみたら