情報商材のだましを見抜く基礎技術

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情報商材のチェックポイントは?

騙しの基本技術を知っておくべし

情報商材に関わらず、商品(特に情報)を売るときに使うテクニックがあります。 これらのテクニックは、常に基本になるものでいい商材でも、悪い商材でも、それなりに使われています。 要は、その点を自分で分析できるかどうかがポイントです。

本ページでは「だまし」と表現しているのは、法律の定める詐欺的行為のみならず、「購入者が予想していた内容とは程遠いものだった」などの、(法的にには詐欺とは言えない)不満足爆発の商品も含みます。

セミナー主催者や情報商材販売者(作成者)が、どのような手法で商品をよく見せるかという基本的技術をチェックしていきます。

外来語を使って権威付ける

商品に威厳があるように見えるのは?

基本的な騙しのテクニックだよ

商品に威厳をもたせる騙しの用語テク

  1. 外来語を多用する(主に英語・外国語)
  2. 専門用語を多用する(ハイテク用語・IT用語)

自分が売りたい商材や商品(場合によっては自分のやりたいこと政策ポリシーなど)に、外来語を使って人の目や気を引く手法は、昔から使う基本技術です。 普通は商品に価値があるように見せたいので、先進国の人々族が多く使う言語かつ権威付けが容易い言葉(主に英語、仏語、独語)を使う、もしくは歴史の長い国の神秘的な用語(インド系の言葉)を用いるのが基本技術です。

最近の例では、東京都知事がアウフヘーベン(Aufheben)という言葉(ドイツ語)を、自身の政策(新党結成や市場移転問題)に対して、単にごっちゃ混ぜにするという程度の意味で使っていました。本来の意味からは、使い方は完全に間違っているということでよいのですが、ドイツ語でそれとなく使われると、「もしかして、すごいことを考えているのかな」と大衆を誤解させることができます。しかも、そのドイツ語はヘーゲル弁証法から引っ張ってきているわけで、哲学が好きな人からはそそられる用語です(しかし、弁証法自体がややこしていので、現実にはあまりツッコミません)。

でも、使用例を見る限り、単なる「ミソクソいっしょにする」という中身以上のものはありませんでした。それを、いかにもすごいことのように「アウフヘーベン」と表現するところは、ある種の騙しの才能が必要(場合によってはハレンチさも必要)です。意味を真面目に知っている人は、芸人的な大胆さが伴わなければ、あの場で恥ずかしくて口には出せません。その意味では、都知事に選ばれるほどの人は、羞恥心も普通の人とは違うレベルで維持できるのだと思います。

東京都知事は職業柄、この手のハッタリをかます技術と能力が必須かもしれませんが、この手の権威付け、レッテルをうまく活用して、商品を販売することがあります。 多くの商材では、まずこの基本は抑えて使われているのではないでしょうか。少し例を見てみます。

特定の人には珍しくない言葉ですが、「アジェンダ」「ラポール」や「クライテリア」などの用語は、商材宣伝やその内容を実践する際によく使われます。一部の政治家が、自分の知力をアピールする目的で使用しているのはご存知かと思います。いずれの言葉も、そういった言葉を使わなければ説明できないような難しい概念や、行動に対して用いられるわけではなく、ほぼほぼ、「親しくなる」「判断(採点)の基準」程度の意味にしか使われていません。 観客によっては心理学的用語などにビビって、「もしかしてすごいことをしているのかも」と思う人がいるようですが、日本語で記述してしまうと、中身の薄さがモロバレになるので、横文字を多用してごまかしているだけです。要は情弱を取り込むための手法です。

カタカナ文字(場合によってはアルファベット)は、ある種のコンプレックスがある人に現在でも強力に効くようですので、まず「そのカタカナ表現」が必要かどうか、意味があるかどうかを問うようにしてみてください。それだけでも情弱催眠に引っかかるリスクは激減します。

専門用語を無関係分野に多用する

専門用語が多用される情報商材は普通に存在します。 その事自体は何の問題もありません。専門用語が出てくるからといって、その商材が詐欺系だということにはなりません。 特に、専門用語を使わなければ、文面が長くなりすぎて、本質(伝えたい部分)がうまく伝わらないという場合は、やむを得ません。 しかし、専門用語が多用されている商材がよく売れるかといえば、普通は売れません。そのため、専門用語や事象をわかりやすく噛み砕く技術や能力を駆使して、中身を読みやすく、少しでもわかりやすくして商品化します。

一方で、詐欺的に専門用語を使う場合は、別分野の専門用語をわざわざ引っ張ってきて、自分の商材の宣伝や説明に多用します。ある程度、教養の深い人がやれば、それらしく見せることができるテクニックですが、専門家でもない人が別分野で無理して使っても「知ったかぶり」の延長線にしかなりません。詐欺師としては、その用語を使うことで、中身の薄さをごまかすのが主目的です。

最近経験した具体的な例では、「成功マインド系の獲得セミナー」で、心理学用語IT用語を無闇に使用して、顧客を欺罔しているケースがありました。多くの成功マインド系のジャンルでは心理学用語は頻出しますが、それなりに心理学を勉強した人も受講しに来る可能性があるので、心理学用語の使い方が不適切だと、中身が無いことがバレることがあります。

それを補うために、コンピューター用語であるソースコードをキーワード的に組み合わせて、自身のセミナーを権威づけする手法が使われていました。用語の意味合いは「順番リスト」以上の中身はありません。コンピューターのプログラムを書かない人には、あまり馴染みがないのかもしれませんが、ソフトウエア開発では、ただの電子計算機命令書(計算機に実行させたいことを書き連ねたもの)のことを、プログラムソースとか、ソースコードとか呼びます。順番リストを入れ替えたり、追加したりすることを「ソースコードを書き換える」、「ソースコードをアップデートする」などと表現していました。

かつては、マインド系のセミナーでただの実行書に過ぎないものを「プログラム」とか呼ぶことが多かったように思います。学校の運動会でもただの進行書プログラムなどと表現しますので、この程度のカタカナ語では相手を陥れるほどのパワーはありません。

そこで、最近では「(ソース)コード」、「スクリプト」、「バッチスクリプト」などの用語を使う輩が出てきています。言葉は違いますが中身は上のプログラム(進行表)程度の意味しかありません。プログラムという表現は使い古されているので、自己改革するという意味のことを「自分をプログラムし直す(リプログラムする)」みたいな表現をする人もいます。普通に教養がある人は、せっかくの人を遠ざけてしまいますので、あまりそのような表現を多用しないほうがいいかと思います。

一般にはソースコードのような表現をすると、アプリケーションを開発しているエンジニアみたいで、それなりに大した内容が書かれている(入っている)ことを期待します。

上のようなアプリケーション開発用語(コンピューター用語)それを、単に成功マインドの考え方の順番を羅列したものに対して、ソースコードと呼び名を付けてしまうと、「なんか先進的なことをやっている」錯覚が生じます。それが主催者の狙いです。もちろん、その成功マインドの「ソースコード」なるものは、中身は「声に出して言いましょう」、「潜在意識を活用しましょう」程度の、よくある内容です。注意すべき目新しいものは、特定のIT用語と結びつけて、顧客を欺罔するテクニックです。

よく使われるIT用語を一般に多用してしまうと、内容が薄っぺらく見えてしまうのはご理解いただけると思います。 例えば、「本を読む」程度の内容を「テキストブラウジングする」とやったらどうでしょう。本一冊製本するより、ウェブサイトに同内容をアップロードする方が手間が省けますが、読み手の方としては「読む」というより「見る」と感じになります。 ということは、「見る」で済んでしまう程度の内容・情報をこんな高額で売りつけるのかと、顧客に不信感を与えてしまうリスクもあります。 変な言葉を普通に押し付けてくるIT業界にも責任はありますが、わざわざITに結びつけるまでもないことを、無理やりわかりにくいIT用語で表現してきたりする商材やセミナーは、少し立ち止まって考えてみたほうが良いと断言できます。逆に、人を騙すときは、そうやるとITやプログラミングに弱い人はガードが下がります。

情報商材の浅さを見抜くチェックポイント

中身の無さがバレるタイミング

  • 話者の専門用語の意図する範囲が浅い
  • 日本語(大和言葉)に置き換えると、内容の薄さが見える
  • (契約)特典が浅い内容のものに限られる

情報商材は、ものによっては有益ではありますが、はじめからダメダメのものも数多くあります。 一見よく、素晴らしく見えても、中身は巷の「成功本」の焼き直しというもの普通にあります。 焼き直しというのは、再現というより、かつては単にCDやMP3などの音声ファイルにして提供するパターンが全盛でしたが、最近では動画化して「会員は視聴回数無制限」とか「オンラインセミナー無制限」などの、メディアを変えた無制限パターンも頻出です。

話者が専門用語をなぜ使っているか考えてみる

本当の専門職、例えば医師を取り上げれば、患者にはいきなり専門医学用語で説明しません。弁護士が裁判手続きを顧客に説明するときも同様です。 専門用語が活躍するのは、専門家同士で理解を深め合うときに、互いの常識として持っている高度で複雑な内容を、短い専門用語でまとめてしまうときです。 互いによく知っている内容ですので、わざわざ説明せず「例の」「アレ」みたいな感じで使えてしまうわけです。

これを、ド素人に使用してくる場合は、明らかに「ド素人(情弱)をカモってやろう」、そして「自分のほうが良く知っているから、自分についてこい(金を払え)」という裏の意味があります。このような場面では、ビジネスでは「お互いわかり合おう」みたいな日常生活的な意味はありません。 例えば、何々セミナー開催みたいな場面で、セミナー主催者がビジネスやっている限り、中身は多かれ少なかれ「今日のカモはどなたですか?」と睨みをきかせているのが普通です。 セミナー参加者は、最低限その程度の主催者の常識は頭の片隅にとどめておく必要があります。

話を本筋に戻します。 セミナー主催者、または話者が、専門用語らしきものを使用している場合、その意味の深さを考えて見る必要があります。話者の話を聞いて、自分が専門用語の奥行きをかじられない場合は、そのセミナーは無視していいものが大多数です。この場合は判断基準は「自分」です。まわりのサクラがいくら感銘を受けているような演技をしていても、惑わされる必要はありません。自分基準で判断します。言い換えれば、自分が奥行きを感じないのであれば、そのセミナーは無価値、話者のスキルが低いと判断しましょう。

いい人に多いのですが、間違っても「自分の理解力がないから、今は奥行きが感じられない」などと考えてはいけません。この場面では「自分を説得できないような話術なんだから、セミナー主催者そのものの能力が低いのよ、無駄な時間を過ごしたわ」程度の自己中心さが大切です。

相手は「ビジネス」、参加者は「顧客」です。顧客がつけあがっても、相手がうまく処理できないのなら、それは相手の能力不足でしかありません。現実のセミナー(オンラインセミナー)では、サクラを混ぜて専門用語やカタカナ語を普通に使い、カモをうまく誘導する手法が多用されますので、相手(サクラとして混ざっている顧客も含む)の基準に合わせてはいけません。 繰り返しますが、「自分の能力が足りないから、相手は正しいことを言っているのに自分は理解できない」のではなく「相手は中身の薄さをさとられないために、核心部分をうまくぼかす」のだという視点は忘れないようにしましょう。

日本語(大和言葉)に置き換えて考えよう

詐欺られないポイントの二番目は、常に自分の言葉で考えることです。 相手がボキャブラリーが豊富だからといって、相手の言葉に合わせる必要はありません。そもそも詐欺師はボキャブラリー豊富なのが普通です。 自分の、たとえ少なくても使いこなせる自分の言葉で、話者のキーワードを置き換えてみましょう。

置き換えてみて、明らかに内容が薄い軽々しいものなら、そのセミナーや教材は意味がありません。厳密には、あなた(自分)にとって意味がないということですが、ここでは普遍的に意味がないと断言的に表現します。

ここで、参考までに、言葉を置き換えるときに、できる限り「ひらがな」だけの大和言葉を使ってみるのもコツです。ひらがなだけで置き換えて、それ以上の意味にも広がらないのであれば、本当に中身が薄いと考えられるので、正真正銘の無価値教材だと断定しましょう。 例えば、「おぼえがき」以上の意味にしか広がらない内容を「スクリプト」と表現しているようなセミナーはイタイ部類かもしれません。

かつて、私が参加したセミナーに強烈な顧客がいました。

今言った外国語、スペルアウトしてみて

プレゼンターが外国語由来のキーワードを多用するので、参加者の一人が「その外国語、はじめは”a”で始まるのですか?それとも”e”ですか?」というような質問をしたのですが、「カタカナだよ」とはぐらかしていました。子供じみた撃退法ですが、詐欺師丸出しの相手には有効かもしれません。

タダ同然の特典の内容が白々しいほど過剰宣伝

情報商材やセミナーを申し込む際、「今なら、○○が特典としてついてきます。本日限りです。」みたいなことが当然のように囁かれます。 特典というのは、本来タダ同然のものを、価値あるようにして提供するものです。それでも、多少はコストがかかるのが普通です。 新聞折込チラシを持参してスーパーで買い物したら、特典の買い物袋やガラスコップがもらえたりするのもそのたぐいです。

情報商材の場合、特典は「モノ」で提供されることはごく稀で、大半はデジタルデータなど、タダ同然のものになります。断っておきますが、デジタルデータを提供する行為は、送料も梱包も必要なくタダ同然という意味で、データそのものを作成するには、膨大なコストが掛かっていることはあります。タダの意味する点が少し違うのでご留意願います。

最近経験したのは、オンラインで行われた某能力開発セミナーで「本日仮契約していただけると、後日、○○○メソッドの内容をご自宅の住所まで郵送します、さらに今まで35万円で販売していた○○○開発法の無期限視聴をおつけします」というのがありました。

この手の発言は、あくまで、話者(セミナー主催者)はビジネスでやっているという点を忘れないでください。宗教家の説法を聞いているわけではありません。つまり、タダで何かを提供するということは、商法(六法の一つ)上ありえないのです。

後日、○○○メソッドの内容をご自宅の住所まで郵送します」というのは、主催者の講演内容等を印刷したものを郵送で届けるという意味ですが、要は「契約者の住所が知りたい」だけです。 送られてくるものは、郵送料を最低限に抑えたものが送られてくるはずです。要は、郵便物が届いて本人確認ができ、今後継続的にカモれるかどうかを見定めているわけです。

セミナー主催者の話し方からでは見抜けない

セミナー主催者の話し方から、その人を論理的な人誠実な人と誤解してしまうようなケースが良くあります。この点だけは要注意です。まともなプレゼンターであっても、詐欺師であっても、セミナーの話し方だけではどちらの部類の人物なのかは見抜けません。

多くの主催者は、かつての所属会社などで、営業分野では徹底的に鍛えられている人が多いので、ド素人を騙すのはわけもないことです。そのため、セミナー主催者がかつての詐欺師KKCやOGグループのようなわかりやすい話をしてくれるわけではありません。 どなたも、話し方(話術)そのものはよくできている人が多いです。現に情報商材で売れている教材の中にも、そういった技術に長けている人は普通にいます(だから売れるとも言えます)。

主催者の話し方や容姿で、セミナーの内容を判断するのは極めて危険です。 容姿が悪くても内容が良ければ、それはそれで良いのですが、販売実績は好ましくない傾向にあります。

容姿と話し方がよく出来ていれば、セミナーの内容がポンコツでもそれなりに売上が出ます。しかし、これは情弱ビジネスと紙一重ですので、当サイトではあまり奨励しません。

中身を見抜くには、結局は、話者の内容をしっかり拾っていく必要があります。 かつての大平総理のように、テレビでは、「あ~ウ~」ばかり発声して何を言っているわからないような喋り方をする人でも、それをそのまま文字起こしすると、見事な文章になっている人もいます。 そのため、話の内容を見るしか、最終判断の決定打には至らないと言えます。

だまし見極めの基礎技術まとめ

  1. カタカナ語を多用する相手には要注意
  2. 専門用語を不必要に使う相手には要注意
  3. 特典アピールが大きい商材には要注意
  4. 相手の話し方だけでは見抜ききれないことを知っておく