ビットコインのハッシュレートと価格との関連性を知りたい!

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ビットコインを支えるブロックチェーン技術

ハッシュレート???

仮想通貨の取引をすると「ハッシュレート」というキーワードが必ず出てきます。どういう意味なのかイマイチな方はぜひ読みすすめてください。 ここでは、ハッシュレートが変動する仕組みと価格との関連、ビットコインのハッシュレートの推移を通してハッシュレートの基礎をチェックします。

ビットコインのハッシュレートを語る前に

予習ポイント

  • ハッシュレートと計算機の能力との関連性は?
  • ハッシュレートはなぜ一定ではないのか?

ハッシュレートとは、俗に採掘速度と表現され、マイニングの時によく出てくるキーワードです。 ビットコインなどの仮想通貨での取引を検証(マイニング)する際の計算力(採掘速度)の速さを表します。 単位は「hash/秒」で表され、1秒間に何回ハッシュ計算ができるかという意味になります。 ハッシュレートが高いということ、ハッシュ計算を処理する速度が速いということで、低ければ処理速度が遅いわけですね。

マイニングの場合、ひたすらハッシュ計算を行うという性質上、この計算が早ければ早いほど高パフォーマンス、まりは報酬を受け取れる可能性が高くなります(効率の良いマイニングができる)。

このハッシュレートが変動する場合、これは何を引き起こすと思いますか?

ハッシュレートが動いたら、通貨の価格も動くの?

マイニング(採掘)作業と報酬の関係は?

仮想通貨の代表格であるビットコインを始め、マイニング(採掘)と作業はその通貨システムを維持するためのコアとなる部分です。

マイニングとは、通貨取引の情報を検証して、その情報ブロックをブロックチェーンの末尾につなげる作業です。作業成功の見返りとして、成功者にはその仮想通貨新規発行されます。 つまり、マイニングが一つ成功すれば、新発行の仮想通貨が流通することになります。

仮想通貨の取引では、新規の取引情報を正確に普通に保存するだけではありません。データ全体の正当性を常時チェックするため、コンピューター(計算機)による莫大量の計算を駆使して、情報改ざんを防止し続けています。

新しい情報を記録するときは、必ず以前のデータと新しく作成するデータの両方を検証して、データの改ざんを防止するのですが、その検証するための(新しくブロックをつなげるときの)計算量は膨大になります。

計算が終わらなければ、前の取引データと新規の取引データがつながらないので、システムが機能しなくなります。そこで、ビットコインなどの仮想通貨では、取引作業の検証を行う者(計算機)を募り、検証処理(新規ブロックをつなげることに成功した者)に対してその仮想通貨を新規発行するシステムを採用しています。

報酬がもらえるということは、参加者も参加しやすくなり、報酬目的になればなるほど、参加者の計算能力も高いものが必要になり、結果的にデータが正確で壊れない(データの整合性がいつも保たれている)、強固なシステムが出来上がります。

現在では、マイニングで報酬を得るには、高い計算処理能力を持つマイニング特化マシンが必要ですので、誰にでもできるとまでは言えませんが、無報酬のボランティア程度なら、どなたでも参加可能です。 現状では、報酬を求める者の多くは、企業としてマイニングに参加しています。

なぜハッシュレート(採掘速度)は一定にならないのか?

ハッシュレートは一定ではないの?

仮想通貨のネットワークに参加する人が一定ではないからだよ

ハッシュレートというものは、つまりは仮想通貨取引の検証に必要な計算処理速度とまとめてしまっても構わないはずです。この計算処理速度(ハッシュレート)が一定にならない理由は何だと思いますか? 一定に保たれれば、その仮想通貨は安定していると考えられなくもないはずです。身の回りで言えば、電力が一定で供給されるようなものです。

答えはP2Pシステム特有のもので、システムの管理者は無く、参加者が一定ではないからです。

多くの人がマイニングに参加し、取引が多くなると、その検証のための計算量も増大します。当然、多くの人が計算するため、ハッシュレートは上がります。逆に、参加する人が少なくなり、取引量が減れば、計算量も少なくなります。つまり、ハッシュレートは下がります。

その仮想通貨にマイナー(採掘者)として参加する人が多い場合は、ハッシュレートは総じて上昇し、その通貨は人気があるということも言えます。P2Pネットークは、参加者が少ない場合は信頼性は低いとされますので、ハッシュレートが高いものは、その通貨の信頼性を反映していると判断されます。

多くの人がマイニングに参加するということは、それだけ多くの人によって取引情報が記録されていることを意味するため、通貨としての信頼性が上がるわけです。しかし、ハッシュレートは必ずしも高いほど良いというわけではありません。 ハッシュレートは人気の高さを表すわけですが、人気が高いということはそれだけ参加者にとってはライバルが多くなることを意味します。ビットコインの場合はマイニングで1番に生成した人にしか報酬が支払われないので、高性能なマシンを保有する大手の参加者ほど有利になります。 結果として、そうした強力な参加者のみがマイニングを行う中央集権的な状態に陥るということにつながりかねません。

なぜハッシュレートは一定を保てない?

  • 仮想通貨の人気による参加者の増減があるから
  • 仮想通貨の信頼性による参加者の増減があるから
  • 要は仮想通貨ネットワークヘの参加者が一定ではないから

採掘難易度を考慮すべし

マイニング(採掘)で仮想通貨の新規ブロックを繋ぐ難しさは、採掘難易度で表されます。

ビットコインでは1つの新規ブロックが作り出される(ブロックチェーンにつなげる)ペースは約10分間隔です。 新規ブロックは時間的にひとつ前のブロックのハッシュ値とノンス値を合わせて、欲しいハッシュ値が出るまでひたすら計算を繰り返します。 この欲しい値への制限を厳しくすれば、新規のブロックチェーン生成に時間が難しくなります。 一方、マイニング参加者が増える、PC(計算機)の処理性能が上がると、新規ブロックをつなげるまでの時間が大幅に短縮される可能性もあります。

ここで、ポイントは新規ブロックが作り出されるペースが時間ベースで決められているのではなく、計算問題の難易度ベースで決まるという点です。問題の難易度を変えることにより、解き終わるまでの時間をコントロールしているということです。計算機の性能が上がって問題が(10分もせずに)簡単に解けると、次々に採掘が進んでしまうことになりますので、正解を得るまでに約10分程度は必要になるように、問題の難易度(採掘難易度)を上げてコントロールします。この採掘難易度はプログラムで自動的に調整されます。

高速PCに数分で1ブロックとかつなげられないの?

採掘の問題の難しくされて、賢いPCでも10分程度はかかる難しさに自動調整されるよ

実際には、P2Pのネットワーク全体での採掘ペースに影響されます。処理速度の速いPCが5分で解答し、遅いPCが15分で解答したら、結局10分平均で新規ブロックがつながるとも言えなくもありえません。 しかし、ビットコインの場合は一番で解答したものだけが、報酬(ビットコイン)を総取りというルールになっているので、採掘難易度は高速処理ができるPCの方(あるいはクラウドなど)にあわせて調整されます。

取引価格にハッシュレートはどう影響する?

ハッシュレートが高いと仮想通貨の高いの?

理論的には関係ない

ハッシュレートで仮想通貨の信頼性はある程度判断できます。しっかりと、P2Pネットワークが機能していると考えられるからです。 一方、ハッシュレートと仮想通貨の取引価格と何らかの相関関係があるかといえば、よくわからないというのが結論です。

ビットコインのハッシュレート
ビットコインの過去から今までのハッシュレート

ビットコインのハッシュレートは、長期的に見ると右肩上がりで推移してきています。 2018年11月~12月上旬は下げていますが、同年12月中旬からは回復傾向を通り越して上昇傾向です。

ビットコインの場合は、過去にはハッシュレートと価格が連動する時期がありました。 その時期は、仮想通貨の取引価格とハッシュレートが連動するといわれていました。

しかし、データを長期で眺めてみると、ビットコインの取引価格とハッシュレート高さの相関関係があるようでもなさそうです。 よく挙げられる理由の1つは、マイナーのPC使用料金(デバイスおよび電気代)がかさみ、報酬として得たビットコインをそのまま売却するケース(売り圧力)がよくあるからです。このことは、結果的にビットコインの流通が増え、価格は上がらず、しかもハッシュレートは高止まりという理由を説明できます。

ハッシュレートが高くなれば、マイニング報酬は高くなる?

高ハッシュレートときは報酬も高いの?

ハッシュレートが高いということは、計算問題が難しい(ノンス値を見つけ出すのが難しい)ということであり、問題を一番で解き終えて正解するということは、例えば大学入試などで難関大学の試験に一番でパスするようなものです。

では、それに見合う報酬をもらえるのでしょうか?

なぜハッシュレートは高くなる?

ビットコインを例に、なぜハッシュレートは高くなる一方なのかを考えてみます。

なぜハッシュレートは高くなる?

  • ビットコイン取引価格の上がったからマイナーが増えたから
  • PCのスペックは年々上昇しているから

ビットコインの取引価格が上昇していることは、経済ニュースでも取り上げられて来たため、報酬目当で多くのマイナーが参加し始めました。ある程度PCになじみのある人や、株式やFXのネットトレードの経験のある方にとっては、マイナーとして参加すること自体の敷居は高いものでもありません。

結果的に、多くのマイナーが参加することにより、計算処理能力が高くなる、P2Pネットワークが強固になる、信頼される、だからマイナー参加者が増えるという好循環が続いています。

同時に、年々PCの計算処理能力が向上していることも、ハッシュレートを高くする要因の一つです。現在の入門PCが一昔前のゲーム機レベル以上ということは普通にあります。このようなマシン(デバイス、ノード)がネットワークに参加し、マイニングを行えば、必然的にハッシュレートは高止まりします。

マイニング報酬はどう変化してきた?

ビットコインのマイニング報酬も、誕生当初の50BTC(1ブロック)から、2020年現在では6.25BTC(1ブロック)と下がり、かつての87%と大幅に減少しています。

これだけ見ると、ビットコインの貨幣単位でみれば、低報酬と誤解してしまいますが、ビットコインの価格自体が大きく上がっているため、報酬をもらった時にすぐに現金に変えたとすれば、手に入る額面そのものは上がっています。

なぜビットコインの報酬単位が減るの?

ビットコインには21万ブロック生成ごとに、
報酬を半減するというルールがあるからだよ

ビットコインに組み込まれた報酬ルールに、新規に21万個のブロック生成されたら、これまでの報酬を半分にするという「半減期」があります。この半減期のサイクルが、計算上おおよそ4年ごとにやってくることになり、定期的にマイニングの報酬は減り続けます。

なぜ報酬を半減させるルールが組み込まれているかといえば、管理者のいないP2Pネットワークの中でインフレを防ぎ、通貨システムを長期に渡って維持するためです。 史実、ビットコインの総発行量の上限はおおよそ2100万BTCと決まっていて、無制限にマイニングによる新規発行ができるわけではありません。ビットコインの発行数量を調整するためのルールです。

ビットコイン単位の報酬額は減っても、現金化した際の額面が増えていれば、つまりビットコインの価値が上昇していれば、このこと自体は、ビットコインについてマイナス要因ではありません。

ハッシュレートは取引の指標にできる

ビットコインをはじめとする仮想通貨のハッシュレートから、通貨の信頼性をはじめいくつか重要な投資判断材料が読み取れます。価格との相関関係は必ずしもあるとは言えませんが、投資を決めきれないときの判断材料になるはずです。

万能な指標ではありませんが、ハッシュレートが低すぎる仮想通貨は、ギャンブル性が高く、ひどいものなら詐欺通貨になるリスクも読み取れます。

逆に高いからと言って、必ずしも儲けられる仮想通貨とは言えませんが、**通貨としての信頼性**はあると判断できますね。

ハッシュレートが高い場合は、マイニングが活発に行われていると判断できることから、レートが激しく動く場合は、それに伴う取引価格にも何らかの影響を受ける可能性も、考慮してみましょう。

まとめ

  • 仮想通貨のハッシュレートが低いものは信用できない
  • ハッシュレートが高いからといって、儲けられるわけではない
  • ハッシュレートから仮想通貨のマイニング状況が判断できる