仮想通貨にかかる所得税法をチェック

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確定申告では、仮想通貨の確定申告に関しての取扱いが法定化されています。 所得税の基本通達と実務上の取扱いはどうなるのか、チェックしておきます。

暗号資産(仮想通貨)がらみの所得税法

所得税法の改正され、仮想通貨についても確定申告が必要になっています。

仮想通貨売却価額の5%を概算取得費とできる

仮想通貨はネットでもらったので、
いくらかなんてわからないよ

売却価額の5%として雑所得を計算していいよ

仮想通貨の取得金額がわからない場合などは、売却収入の100分の5を取得価額として雑所得の金額を計算することが認められます。

実際の取得原価が100分の5未満の暗号資産(仮想通貨)であっても、取得価額を100分の5として申告することができます。

例えば、1,000万円で売却したけれど、いくらで取得したかわからない仮想通貨を考えてみます。

原則通り(この規定を使わない)なら、取得価額を0円として計算しなければなりません。 これが、この規定を利用すれば、取得価額を50万円とすることができます。 利用するかしないかは、アナタ次第なので、これを知っているかどうかで大きく数字が変わってきますね。

この例では1,000万円の売却収入の5%(50万円)分の損益を圧縮することができますので、税金計算上は納税者にメリットがあることになります。

仮想通貨がハードフォークした場合など、取得価額を0円として評価していた場合は、売却収入の5%の概算取得費とできるようになると考えられます。ただし、国税庁の詳細な方針はまだ明らかになっていません

計算方法の届出が必要に

仮想通貨取引による所得の計算方法は、総平均法もしくは移動平均法から選択する必要があります。

選んだ計算方法は、納税地の税務署長に届出を行うことが義務化されています。

2019年以前は、計算方法の届出は不要でしたが、2019年度以降は「移動平均法」で計算する場合は税務署長へ届出が必要です。

届出を行わない場合は「総平均法」を選んだものとして扱われます。

届出は、仮想通貨を取得した年度の確定申告の期日までに行う必要があります。

利益は出てないから届けなくてもいいよね?

翌年以降に移動平均法で計算したいなら届けた方がいいよ

購入年度に利益が出ていなくて、確定申告が不要となる場合でも、年をまたいで売却益が見込まれる場合などは届けておく方が無難です。届出を怠ると、翌年以降を移動平均法で所得計算が認められない可能性が出てきます(移動平均法で計算する場合は、事前の届け出が義務化されたため)。

ポイント

  • 今後、移動平均法で所得計算するつもりがあるなら、利益にかかわらず届出しよう。

選択した計算方法は変更できない!?

「移動平均法」もしくは「総平均法」を一度選択してしまうと、原則3年間は変更できません。 一度選択してしまうと(もしくは届出ずに計算方法が確定してしまうと)、少なくとも3年間は計算方法の変更を税務署は認められないということです。

このことは、最低3年待てば所得計算方法を変更できることを意味しません。 税務署が認めてくれなければ、前回選択した方法で計算し続けなくてはなりません。

相続、贈与などの暗号資産(仮想通貨)の計算方法

仮想通貨をもらったんだけど、税務上の単価はどうなるの?

くれた人が事前に届けていた計算方法で計算した単価になるよ

相続や贈与、遺贈された暗号資産(仮想通貨)の取得価額については、被相続人が事前に届出をしていた計算方法で計算した金額になります。 相続や贈与されたときに自由に計算方法を選択できるわけではなく、あらかじめ届出された計算方法により行うこととなる点に注意してください。

仮想通貨信用取引は区別すること

信用取引で仮想通貨を売買した場合、現物取引と信用取引とを区別して計算を行わなくてはなりません。

例えば、ビットコインを取引する場合、現物取引で売買したものと信用取引で売買したものは、別々に取得価額の計算を行わなくてはなりません。

2020年以降では改善されてはいますが、損益計算ソフトや取引所(特に海外の取引所)によっては、取引履歴データから現物と信用取引とを判別しづらいところがあります。この場合は特に、信用取引の履歴については、現物の取引履歴と区別できるように管理しておかなければ、税制上の優遇を受けるのが手間になります。

ポイント

  • 仮想通貨の取引では、信用取引と現物取引は区別して所得を計算する

仮想通貨にかかる所得税法まとめ

暗号資産(仮想通貨)を扱う上で、最低限知っておくべきことは次の通りです。 この知識があるうえで、税理士に相談するのとしないのでは話の進み方が大きく違ってきますので、チェックしておきましょう。

暗号資産貨投資家の所得税法チェックポイント

  • 仮想通貨売却額の5%を取得価額にできる
  • 移動平均法で計算したいなら届ける必要あり
  • 仮想通貨を相続、贈与などしたら、取得価額計算は限定される
  • 仮想通貨信用取引は現物取引と区別すること
仮想通貨売却額の5%を取得価額にできる

取得原価が100分の5未満の仮想通貨であっても、取得価額を売却収入の100分の5として申告することが認められる場合がある。

移動平均法で計算したいなら届ける必要あり

「移動平均法」を選択したい場合は税務署長へ届出が必要で、一度選択したら、原則3年間変更できない。

仮想通貨を相続・贈与等の取得価額計算は限定される

仮想通貨を相続や贈与、遺贈などで取得した場合、その取得価額は、被相続人(対象仮想通貨を持っていた人)が事前に届出をしていた計算方法による。

仮想通貨信用取引は別腹

仮想通貨の信用取引による売買では、現物の仮想通貨の売買と区別して計算を行う必要あり。

仮想通貨の確定申告を速攻処理するには?

暗号資産(仮想通貨)の売買を頻繁に行い、利益が膨らんでしまった場合などは、自分で都合の良いように解釈すると、後々のトラブルのもとになります。 確実に素早く処理するには、税金の専門家(税理士)に相談しましょう。どんな専門家でも良いわけではなく、暗号資産に強い税理士を絞り込むことがコツになります。

一方、専門家を雇うまでもない程度の利益なら、自分で処理することも可能です。その場合は、「クリプトリンク」などの暗号資産の収支計算プラットフォームを利用すると簡単です。興味がある方は、下のリンクなどを参考にしてみてください。