暗号資産CFDを始める前に、最低限は予習しておこう!

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金融投資に興味がある人なら聞いたことのある「デリバティブ取引」、なんとも怪しい雰囲気がありますが、リターンが大きいならやはり魅力的です。

このページでは、いきなりデリバティブ商品に手を出す前に、最低限の知識をワクチン注射的して、損しにくい免疫をつけおくのが目的です。

そもそもCFDって何?

CFDって何?

差金決済取引のことだよ

CFDは金融取引の一種で、差金決済取引のことです。

差金決済とは、実際に現物(実際に自分で保管できる暗号資産などの取引)の売買が行われるわけではなく、取引の結果として生じた差額のみを決済することです。この仕組みの利用した金融商品がCFDです。

FXもCFDの一種と言えます。通常CFDでは日経225、NYダウなどの株価指数から、国内外の株式、金、原油といった多彩な銘柄にレバレッジをきかせて売買できるのがCFDの特徴です。

ただ、CFDそのものは投資家向けに開発された商品ですので、ドシロウトのまま手を出すと大ケガがする元になります。高級スポーツカーで楽しんでいればいいものを、高額重機で未開の地をドライブするようなものです。だから、中身をあらかじめしっかり知っておきましょう。

例を挙げてみるよ

たとえば、ある株式を1株500円で購入したとします。その株は550円まで値上がりをしました。この時点で株を売却した場合に発生する差額は、「550円(1株の売却価格)- 500円(1株の購入価格)= 50円(差額)」になります。この取引の結果50円の差額が発生したことになります。

この例のように、1株500円をまず支払い、売却して1株550円を受け取るようなことをせずに、CFD では差額の50円のみをやり取り(決済)します。結果として生じた差額のみを決済する特徴を持っているのが、CFDの大きな特徴です。

つまり、CFD投資は実物資産を全くやり取りせずに(上の例では株式そのものはやり取りせずにしない)決済だけ行うため、商品は株式でなくても構わないということになります。例えば、海外の法定通貨(ドルやユーロなど)、日本株や米国株、日経平均などの指数、穀物や原油などの商品に至るまで、CFDの商品になります。

ここから、本題に入るのですが、そのCFDの商品としてビットコインに代表される「暗号資産(仮想通貨)」を取り扱ったものが、暗号資産CFDということになります。

なぜ、CFD商品として暗号資産を取り扱うところが増えたかといえば、世界的に経済情勢が混乱している年は、大きく価格が振れて儲けるチャンスだと考える人が多いからです。逆に、手を出して大損する人も多いはずです。

だから、本ページで投資判断材料となる知識をしっかり予習しましょうというのが、この記事の意義となります。

暗号資産の2つの取引形式をおさえる

暗号資産(仮想通貨)には「現物取引」と「レバレッジ取引」の2つの取引形式があります。

 現物取引レバレッジ取引
利益可能性標準大きく狙える
損失リスク標準大きくなりえる
注文買い注文から売り・買い注文どちらからでも
取引資金自己資金内借金して大きくできる

現物取引は実際に仮想通貨の売買を行うことで利益を出していく投資手法のことです。 これに対して、レバレッジ取引は自己資金よりも大きな金額を投入しトレードをするのが特徴的で、CFDと同じく差金決済の仕組みが採用されています。

結果的に行っていることだけを見ると、仮想通貨におけるレバレッジ取引がCFDとほぼ同じ意味になります。

CFDのメリットをチェック!

わざわざCFDに手を出すメリットってある?

CFDのメリットをチェックしておきましょう

【メリットⅠ】差金決済で空売りもできる

CFDでは差金決済の方式が採用されているため、空売りの仕組みも利用できます。空売りのことを、CDFではショートと表現します。ショート(空売り)とは、実際には保有していない資産を売ったと仮定して、後から買い戻すことで利益を出す投資手法のことです。

つまり、買ってから売って、その差額を稼ぐような手法だけでなく、「売ってから買い戻して」その差額を稼ぐという手法が使えます(売買の順番が違う)。投資家にとっては、これが最大のメリットになります。

ちなみに、CFDに限らず、証券取引においは「ロング」というと長期投資、「ショート」というと短期投資ということになります。

具体例を挙げてみます。

1株を550円で売却(ショート)したとします。このショートした1株は、差金決済では必ず買戻しを行わなければなりません。そこで、1株500円に落ち込んだたタイミングを見計らって買戻しました。この場合、「550円(1株のショート時の価格)- 500円(1株の買い戻し価格)= 50円(利益)」となります。

このように、売りから入ることができ、ショートの仕組みを活用すればCFDでは相場が暴落した時などにも利益を狙っていくことが可能になります。

なお、自分が思ったとおりの値動きをせずに反対方向へ動いたとします。 そのとき、すぐには決済をせず、含み損は増えるリスクを負って、自分の意のするところまで待つことを「ロングポジション」と呼んでいます。

【メリットⅡ】レバレッジも適用可能

CFD ではレバレッジも適用できます。CFDにはレバレッジを適用することで、自己資金よりも大きな金額を運用できる特徴があります。

仮に資金が10万円しかない状態であっても、CFDであればレバレッジを適用し、大きな金額で取引をすることができます。 一般的に適用できるレバレッジの大きさも50倍ほどまで(FXは25倍まで)と、高めになっているのも、CFD の特徴なのですが、暗号資産CFD の場合は数倍程度(マネックスの場合は2倍まで)と大きくはありません。

資金面が少ないといった悩みは、初心者の方を中心に多くの方が抱えている悩みの1つです。大きく儲けられたはずで自身もあったのに、資金不足で大金を投入できなかったという経験は誰でもあるはずです。そのため、こうした悩みも解消されるというのはCFDでは注目ポイントだといえます。

当然ですが、これはメリットではありますが、デメリットになってもしまうこともあります。大きく儲ける可能性がある一方、大きく失うリスクもあることは、しっかり覚えておいてください(自己資金以上の損が出ることもあり得ます)。

マネックスビットコインからみる、CFDと仮想通貨の違い

暗号資産CFDは、今後取り扱う会社が増えてくることが予想できますが、ここでは暗号資産CFDといえば定番のマネックスからチェックしていきましょう。 マネックス証券の「マネックスビットコイン(暗号資産CFD)」の場合は、デリバティブ取引(金融派生商品)ならではの商品設計がなされています。 つまり、暗号資産らしい売買が行いやすくなっています。

マネックスビットコインの特徴

  • 取扱はビットコイン/円、イーサリアム/円、リップル/円、ビットコインキャッシュ/円の4銘柄あり
  • CFDの仕組みで、最大2倍までレバレッジをかけることができる
  • 土日を含めて365日、24時間いつでも取引できる
  • 取引手数料は完全に無料
  • 注文方法が豊富
  • 高機能スマホアプリで快適に取引できる

と、投資家が求めるポイントはおさえられています。 気になるのは、レバレッジが最大2倍までと控えめですが、無茶をする輩が社会問題化するリスクがあるので甘んるしかありません。投資家にとっては、リスクをおさえられるというメリットがないわけではありません。

その他の最大のポイントはスマホアプリが使える点です。短期勝負の性格の強い暗号資産CFDは、スマホアプリが充実は重要です。

暗号資産CFD

税金はどうなる?

タイミングよく儲かってしまったときに、気になるのが税金です。 税制面では現物の取引と共通のルールです。

課税方法総合課税(雑所得
損益通算貸株金利や配当金相当額等、他の雑所得との通算が可能
税率所得金額に応じて5%から45%の7段階
住民税10%が別途加算
2013年1月1日から2037年12月31日まで復興特別所得税として上乗せ
損失の繰越できない

利益が出ているときは忘れずに確定申告を必ず行いましょう。

マネックスビットコインのレバレッジ2倍はどう?

暗号資産CFD

現物のビットコインを購入しようとしたら、最小単位は500円から購入できます。

暗号資産CFDの最小発注数量は0.01BTC/JPYで、2020年8月の換算だと約12,000円になります。

この同額(約12,000円)を口座に入金してポジションを保有した場合、レバレッジは約1倍です。

マネックス証券の暗号資産CFDは、最大でレバレッジを2倍までかけられるため、その半額の約6,000円を入金して取引を始めれば、レバレッジはおおよそ2倍近くになるという仕組みがあります。

レバレッジ1倍と2倍を比べると、同じ数量を取引した場合でも資金効率が2倍に変わります。 そのため少ない資金でも大きな取引を行うことができ、効率的に利益を追求することができます。

FXやほかのCFD銘柄はレバレッジが25倍以上あることを考えれば、厳格なレバレッジルールが適用された商品ということになります。

暗号資産CFDの取引時間をチェック

暗号資産CFD が手を出しやすいのは、取引時間の自由さも大きな理由です。 例えば、FXの場合、法定通貨を発行する主要国の多くは土日が休みですので、土日は取引ができません。 平日はどちらもほぼ24時間取引できますが、土日も取引できる暗号資産CFDはそれだけで魅力的です。

暗号資産CFDでは現物の値動きを参照していて、土日や祝日も売買が行えます。これが FX との大きな違いになります。暗号資産CFDでは365日、24時間土日も含め毎日取引が可能です。

ただし、マネックスビットコインの場合は、毎週水曜日の12:00〜18:00はメンテナンス時間ですので、注文を行うことができません。 ストリーミング注文は約定しない、指値注文や逆指値注文はメンテナンス時刻過ぎてから約定するルールになります。 この点は注意です。 おそらく、期待をこめて、今後は改善され、限りなく365日、24時間土日も含め毎日取引が可能なシステムに移行すすると考えられます。

マネックスビットコインの良いところをピックアップ

暗号資産CFDの良いところは、上に大雑把にピックアップしましたが、実際は証券会社・取引所次第で、その良いところが全部利用できるかどうかが決まります。

マネックスビットコインがほぼ業界(日本)デフォルトなので、今までのポイントを踏まえてまずチェックです。

マネックスビットコインの良いところ

  • 現物は保有しないから、盗難の心配なし
  • 買いだけではなく、売りで仕掛けることもできる
  • 現物よりも税制優遇あり
盗難の心配なし

暗号資産CFDは現物を保有せず、値動きによる売買差益を得らる仕組みなので、ハッキング、クラッキングなどの盗難で自己資産を失うリスクはありません。ここは、かつてコインチェックがハッキングされたことを教訓に、強化されています。

売りで仕掛けられる

現物の場合、利益を得られるのは「購入後の上昇局面」に限ります。

しかし暗号資産CFDなら「売り」から仕掛けることが可能です。 値下がりすると判断するとき「売りを入れて下落局面」で利益を狙えるため、現物取引に比べる2倍の収益チャンスがあることになります。リスクも同様にあることは心にとどめておいてください。

税制優遇あり

暗号資産CFDによって損失が発生した場合、他社の暗号資産などの雑所得内での利益と相殺ができます。

マネックスビットコインの悪いところをピックアップ

暗号資産CFDは良いところばかりでないのは、他の金融商品同様です。

マネックスビットコインを例に挙げますが、おそらく今後他の会社が同様のCFDを取り扱い始めても、このルールと大差ないはずです。

マネックスビットコインの悪いところ

  • 強制決済の仕組みがある
  • レバレッジ手数料が発生する

強制ロスカットの仕組とは?

マネックスに限らず、どんな証券会社でもこの仕組みはあります。何も特別なものではないので、間違えないようにしてください。

現物取引の場合、値下がりが大幅であろうと、紙切れ(鉄くずなど無価値)同然になるまで保有しても、投資家の勝手です。

一方、証拠金取引(CFD)では一定の証拠金維持率を下回ると強制決済(強制ロスカット)が行われます。

マネックスビットコインの場合は、証拠金維持率が100%を下回ると強制決済が行われてしまいます。つまり、強制的に損失が確定してしまいます。少ない資金で大きな取引ができるレバレッジ取引では、大きな利益を狙える反面、損失が生じた際にも大きな損失となる場合があります。

ロスカットの基準となる証拠金維持率の計算式はこちらです。

証拠金維持率 =(純資産額1 - 注文必要証拠金) ÷ ポジション必要証拠金 × 100%

証拠金維持率が120%以下になるとプレアラートがあります。 プレアラートは強制決済(ロスカット)が近いことを知らせてくれるものです。 スマホさえ持ち歩いていれば、スマホアプリ上で通知されますので、普通は見逃すことはまれです。

証拠金維持率を上げたいんだけど

入金額を増やすか、ポジション量を減らすことで調整できるよ

少ない資金で大きな取引ができる暗号資産CFDですが、大きな利益を狙える一方で、トレードによっては大きな損失となる場合も当然あります。強制決済(ロスカット)になる前に逆指値注文(損切り注文)を入れておくようにすると、市自分である程度コントロールできます。

レバレッジ手数料が発生する

午前7時をまたいで建玉2を保有した場合、建玉の保管費用としてレバレッジ手数料が0.04%/1日(≒年14.6%)発生します。

レバレッジ手数料 = 建玉数量 × 時価3×0.04%

建玉数量が1BTC、午前6時の時価が100万円の場合はこのようになります。

レバレッジ手数料は1(BTC) × 100(万円) × 0.04% = 400円がレバレッジ手数料です。 最小発注数量の0.01BTCのときは、レバレッジ手数料は4円となる計算ですね。

暗号資産CFDのポイント

  • デイトレなど短期売買向きの商品設計がされている

スマートフォンアプリは活用すべし

マネックスビットコインの場合、取引ツールがしっかりしているのがポイントです。 iPhone や Android に両対応している方が利用しやすいのでお勧めです。 マネックスビットコインは「MONEX TRADER CRYPTO」がなかなか優秀ですので、まだ試していない方は要チェックです。

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複合注文やテクニカル指標が見やすく、アプリの操作ミスはおさえられている印象です。 注文に関しては、ストリーミング注文、指値注文、逆指値注文、クイック決済注文、一括決済注文のほか、IFD注文、OCO注文、IFO注文といった複合注文も用意されています。 戦略を持ってトレードできるツールは、暗号資産のみならず、株式も含めてマネックスがデフォルトでは一番充実している印象です。

ポイントは、損切がうまく指定できるかどうかですが、ストリーミング注文で「決済同時発注」を使うことで、損失額を自由に決めることができます。 なお、ストリーミング注文では、発注時の確認画面は表示されないので注意です。 この機能があるかどうか、使えるかどうかで、損失が長引き拡大してしまうことを防ぐことができます。

同時に、分析機能が充実しているかどうかもチェックポイントです。チャート(Tick、1分足、5分足、15分足、1時間足、4時間足、日足、週足、月足)には人気のテクニカル指標、さらに4分割チャートを搭載しているため、マーケット全体のトレンドを判断するのに利用できます。

マネックス証券「暗号資産CFD」の取引条件

最大レバレッジ最大2倍
法人口座
ロスカット有効比率が100%以下となった場合
取引時間原則24時間 365日(週次メンテナンス時間は除く
外貨入出金○(総合口座)
外貨受渡○(総合口座)
注文タイプストリーミング/指値/逆指値/OCO/IFD/IFO/クイック決済/一括決済
チャートから発注
メールサービス約定通知/ロスカット通知/アラート通知/注文取消通知/注文不出来通知/ログイン通知
対応取引ツールiPhoneアプリ/Androidアプリ

暗号資産CFDまとめ

  • ビットコイン、ビットコインキャッシュ、リップル、イーサリアムを円でCFDで取引できる
  • 現物を保有しないので、ハッキングやクラッキングによる盗難の心配無用
  • 買いだけではなく、売りから入ることもできる。

マネックスビットコインの特徴としては、 マネックス証券が国内初の暗号資産のCFD取引サービスを開始したこと、マネックスの高機能スマホアプリで快適にトレードができる点になります。

暗号資産CFD
  1. 純資産額は預託証拠金残高 ± 評価損益 ± レバレッジ手数料 - 指値スプレッド評価損 ± 入出金予定額で算出 

  2. 「たてぎょく」、取引所で売買約定をした物。信用取引や先物取引、オプション取引、FXなどにおいて、取引約定後に反対売買されないまま残っている未決済分を指します。略して「玉(ぎょく)」とも呼ばれ、買い付けとなっている建玉を買い建玉、売り付けとなっているものを売り建玉といいます。建玉の総数は相場動向によって増減し、売買高や人気を計る目安のひとつとなっています。 

  3. 午前6時時点の対象銘柄の時価(BidレートとAskレートの中間値)