ドルコスト平均法はデメリットだらけ?仮想通貨投資に使えるの?
投資に興味がある人は、ドルコスト平均法という言葉をよく耳にしているはずです。
ドルコスト平均法って何?
ドル・コスト平均法は、長期スパン(10~30年)で資産を増やすことを狙って、投資信託などの金融商品を定期的に定額で購入し続ける投資手法です。
そこでこの記事では、ドルコスト平均法について「デメリットとメリット」、「どのような人にドルコスト平均法が向くか」にターゲットを絞ってみていきます。
ドルコスト平均法はデメリットだらけ!
ドルコスト平均法を語るとき、必ず教科書的な4つのデメリットが出てきます。 これを一つずつチェックししていきます。このデメリットを本当にデメリットすぎると感じる方は、ドルコスト平均法という投資スタイルは向いていないかもしれません。
【デメリット1】収益性が悪すぎる
ドルコスト平均法では一定額をコツコツ積み立てるので、収益性が低いのが普通です。
金融機関でよく説明される例をそのまま咀嚼すると、100万を運用期間10年で投資した場合、順調に価格が上昇していく金融商品を購入するケースを考えます。この場合、10年後を考えてみると、一括投資で購入した場合と比べて、本来は約60万円以上儲けられた利益を、儲けそこなっていることになります。
ドルコスト平均法でぼろ儲け出来る?
可能性は低い!今では元本を倍にするような投資法ではないよ
ドルコスト平均法では定期的に、地味にコツコツ投資額を増やすため、投資額が少ない間は収益は少なく、儲けられるときに大投資を行わない手法であるためです。そのため、収益の伸びは緩やかにしかなりません。
一方、一括投資の場合は、一度にまとまった金額を投資注入するため、儲けられる相場の局面では、ボロ儲けも含めてチャンスを活かせます。
もちろん、現実には右肩上がりの局面が継続し続けることは少ないので、ボロ儲けのチャンスを誰もが活かせるわけではありません。活かせる市場になっている場合でも、収益性は一括投資と比べて低いというのは、投資家にとってデメリットになることは心得ておきましょう。
【デメリット2】儲ける機会をわざわざ見逃しがち
ドルコスト平均法は思考をさほど要せず、株価や通貨の動きを予想しなくても、自動的に決まった金額で金融商品を購入します。 これは高騰相場であっても、下落相場であっても一定額の資金注入を続けるという投資スタイルです。
投資判断はどうするの?
何も考えずに、毎月、決まったお金を投資に割り当てるだけさ
儲けたい人は、商品が割安の時に大量資金注入するなど、メリハリをつけて運用したいはずですが、ドルコスト平均法はそのような方法をとりません。 余計なことを考えずに投資する方法です。そのため、投資の中身を見直さず放置しがちになります。
手堅い金融商品であれば、放置プレイで利益を生み出せます。しかし、仮想通貨のように、まだ歴史の浅いものについては、定期的に見直す必要があります。例えば、価格の下落が継続するだけの金融商品に投資をさらに続ければ、損失が膨らむだけです(ただし、後に回復する場合は別です。)。
このような性質は、裏を返せば、より多くの資産を手に入れられるチャンスを逃しています。
今後も、株価や通貨の価格がどのように変動するかは、誰も正確には分かりません。それでも、市場の情勢や商品の値動き見ながら優位な情報を探り、活用することで、ドルコスト平均法と同じ時間でより多くの資産を得られる可能性はありれます。
今、十分にお金がある人なら、ドルコスト平均法は愚の骨頂
充分な資金があるの人がドルコスト平均法という投資スタイルをとると、手持ちの投資資金を運用するまでに時間を要しすぎてしまいます。
ドルコスト平均法による機会損失の典型パターン
- アタマを使わず、予想も不要なので儲けそこなう
- 投資資金十分なら、全額が投資商品に代わるまでの時間ロス
【デメリット3】手数料がバカにならない
投資信託などにドルコスト平均法を使う場合、忘れがちなのが手数料の問題です。 手数料は相場とは関係なく発生するため、下がり相場(右肩下がり)の場合にはどんどん増え大きな負担となる場合が普通にあります。 手数料さえなければトントンなのに、手数利用のおかげでアカになってしまうことがあります。
地道に収益化できるのがドルコスト平均法?
手数料さえなければ、銀行に預けるよりマシで地道な投資だと言えるね
例えば、投資金額が100万円で信託報酬が3%(税込で3.3%)の手数料だとすると、年間の信託報酬(手数料)は100万円×3.3%=33,000円になります。運用益が出なかった場合でも、普通に手数料は差し引かれますので、その場合は元本割れします。
なお、手数料は、一括投資でも積立投資でも必要です。「手数料がボトルネックになる」と意識する人は、手数料が発生しない積立を選ぶべきです。手数料が発生しないものとしては、定期預金、保険などがあります。
手数料は、投資する商品によって異なりますが、自分が投資した金額から手数料が引かれ、自分が予想した購入金額と実質上の金額が異なってしまう(高くなってしまう)ことは、前もっと心しておきたいポイントです。
【デメリット4】短期的な投資目的だとお得でない
ドルコスト平均法そのものが数十年ほどの長期的な投資を前提にしているので、短期間で収益を求める投資に使っても期待する効果がまず出ません。
すぐに投資の成果や効果が感じられる?
状況と気分次第だけど、大きな成果を感じることはないと思うよ
投資には「中長期堅実投資型」と「短期利益追求型」の2つがあります。
ドルコスト平均法は少額をコツコツ積み上げていく「中長期堅実投資型」で、数年程度では投資を完了した金額そのものがが少なすぎるので満足のいく収益とはほど遠くなります。
「短期間で儲ける運用をしたい」という場合には、短期利益追求型の投資方法を選ぶのが普通です。
【デメリット5】 元本割れリスクを考慮していない
ドルコスト平均法を利用した投資は「投資」なので、元本の保証がありません(ないのが普通です)。 つまり、元本割れのリスクがあります(投資した元のお金よりも減ってしまうことです)。
元本割れって?
例えば、100万円投資したけど、
80万円しか返ってこないってケースだよ
ドルコスト平均法を利用した“積立”には「積立預金」と「積立投資」が代表的ですが、銀行を代表とする金融機関に積立定期預金には「元本保証」があります。 元本保証があれば、最悪でも支払った(預けた)全額より資産が下回ることはありません。預け先の金融機関が破綻しても、預金保険制度により、元本1,000万円とその利息は保護されます。
一方、積立投資に元本保証はありません。
積立預金 | 積立投資 | |
---|---|---|
元本保証 | ○ ある | × ない |
金融機関が破綻 | △ 保証あり | × ない |
ドルコスト平均法にも3つのメリットがある
ドルコスト平均法のデメリットを見終わったところで、注意すべきはドルコスト平均法のメリットです。 今までビックアップしたデメリットは、実は裏を返せばメリットにもなりえます。
【メリット1】相場が下落に強い
ドルコスト平均法は、一度相場が下落しても上向きに修正されたら大きなチャンスがめぐってきます。 これは、自分では判断できない「買い」である局面でも自動的に購入するので、買い逃しがありません。そして、価格が上昇したときに利益となり、その局面に自動的な備えることができます。
何かメリットはないの?
あるよ。何も考えなくても、下落相場には強くなるメリットが特徴さ
ドルコスト平均法では、毎回、一定額の投資しか行わないので、その金額の範囲で購入できる金融商品が決まります。
つまり、「株価や通貨額が安い時には、多くの株や通貨を購入することになる」ため、下落相場では保有金融商品を買いました状態で、相場の上昇を待つことになります。そういった性質から、利幅を押し上げることができて一括投資をするより収益が多い結果となるのです。
【メリット2】平均購入価格を抑えてくれる
下落相場だと安く投資できるね
そのとおり。今までより多くの金融商品を買えることになるね。
ドルコスト平均法は「安いときに多く購入でき、高いときには購入を控えられる」ので、価格変動があれば平均購入価格が圧縮されるところに特徴があります。
「安いときは多く購入、高いときには自然と購入を控える」というシステムは、次のメリットがあります。
平均購入価格を抑えられるとは?
- 高値づかみを避けることになる(投資のタイミングを調整)
- 年間での価格変動のブレを抑えられる
ドルコスト平均法では相場変動に合わせて自動的に購入調整が行われるので、長期的な視点でみたときの時間分散が最大のメリットです。
【メリット3】少額からでもスタートできる
投資に充てるまとまった金額がなくても、少ない手持ち資金で投資が始められるところも大きなメリットです。
お金がないから自分にはできなさそう
ドルコスト平均法は、お金がない人が将来を見据えて行う投資だよ
金額商品にもよりますが月々1,000円から始められるので「投資のためにまとまったお金を用意しなければならない」「生活を切り詰めないといけない」ということがないので、自分のライフスタイルに合わせて無理なくスタートできます。 また、自分で売買を繰り返さないといけない本格的な仮想通貨売買とは異なり自動的に購入口数を調整できるので、難しい知識は必要ありません。
少額からコツコツと貯めはじめて、自分で操作する部分が少ないという点で、初心者向きの投資だと言えます。
自分にドルコスト平均法が向くかチェックすべし!
下のリストすべてにチェックがつけば、ドルコスト平均法で投資を始めるのが無難です。
自分はドルコスト平均法に向いている?
- リスクを避けたいなら、ドルコスト平均法
- コツコツと少額投資をするなら、ドルコスト平均法
- 投資判断が苦手な人なら、ドルコスト平均法
- 投資の知識は素人なら、ドルコスト平均法
リスクを避けたいなら、ドルコスト平均法
ドルコスト平均法が向いているのは、投資によるリスクを避けたい人です。 デメリットの項目でもお伝えたように、ドルコスト平均法は収益性が高い方法ではありません。
いきなりボロ儲け(収益が10倍や20倍になる)のようなことはありえず、まとまった収益が確定するまでには時間がかかります。
お金を失うことはある?
歴史的にもきわめて可能性は低いけれど、それでも万が一の時の覚悟は必要だよ
ドルコスト平均法の最大の特徴は、低リスク低リターンだということです。莫大な資金を投資して、大コケするようなことはなく、得をしない分、大きな不利益を背負ってしまう可能性は極めて低いです。
つまり、投資機会があろうとなかろうと、対してその機会を活用していない人や、機会損失を考えるほど余裕も知識もない人には、銀行に預けるよりも有効な投資方法だといえます。少しでも安全な方法で投資をしたい人は、低リスク低リターン投資を選ぶのが無難です。
コツコツと少額投資をするなら、ドルコスト平均法
ドルコスト平均法は年金や積み立て保険と似に方式なので、ゴールに向けてコツコツ積み立てていくことができる人に向いています。
ボクでもやれそうな感じだよ
大切なのは、10年スパンで継続することが必要だよ
大きなリターンは得られない一方、安定した投資法であるため、将来にわかりきっているお金の入用に対応しやすのも、ドルコスト平均法の特徴です。
「将来のために少しずつ貯めよう」「引退後の資産形成を始めたい」など、投資そのものより、将来的に発生するお金の入用が明確である人が、手堅くドルコスト平均法を活用する傾向があります。つまり、多くの日本人はこの投資法になじみがあり、皆さんの少年、青年時代の学費などは両親が若い時にはじめたドルコスト平均法による投資利益で賄われたという方は少なくありません。
つまり、収益性そのものより、安定的、安心して未来への投資を重視しているところがポイントです。
少額を積み立て続けることが、この投資法のキモなので、資金繰りが苦しい時でもしっかり投資に割り当てることが必要です。長期でリターンをねらうので、戦国武将で言えば徳川家康的な手法ですね。
投資の知識は素人というのなら、ドルコスト平均法
ドルコスト平均法は、投資初心者向きだとされます。 その理由を書き出すと、
真ん中ポイント
- 決められた時期に自動的に金融商品の購入できる
- 投資決断力不要(売買の時期や購入口数など)
- 投資したらほったらかせる(毎日のチェックは不要)
- 少額ではじめられる
とりつきやすい、手軽に始めることができるようになっています。 初心者にとっ難しい投資判断(自分で金融商品の購入口数を決めて売買をする)ということが不要なので、投資に対して深い知識が必要なものではありません。 限りなく、利息の付く定期預金に近い感じです。
逆に、投資に詳しく投資資金も確保できている場合は、ドルコスト平均法では機会損失が気になりすぎて、投資そのものを楽しめないかもしれません。
素人だけど、投資というものをやってみたい方は、ドルコスト平均法はぴったりの手法です。途中で飽きて、ほったらかしにしていても、10年単位でみれば資産を増やす機会を得ることになります。
ドルコスト平均法での運用が向いている商品
ドルコスト平均法のメリットが活きる投資として、どのような商品が向いているのかみてみます。
価格が変動する(可能性がある)商品にはドルコスト平均法
ドルコスト平均法が活きるには
- 価格が上下変動する商品である必要がある
ドルコスト平均法は投資ですので、価格変動がなければ利益(場合によっては損失)を産み出しません。
価格が変動しない商品の場合は、高値のときに購入口数を減らし、低値のときに増やすというコアの機能が果たせません。
ここでの変動という意味は、高くなったり、低くなったりと価格が動き、一定期間(一年以上)を通してみると価格が上向いているようなケースをいいます。
一方方向にしか価格が動かない商品、たとえば、高値を更新し続ける商品が明確にあるなら、ドルコスト平均法など愚の骨頂で、一気に投資して儲けを確定させたいものです。
ドルコスト平均法が活きるのは上下の価格変動がある商品です。
長期的な投資を前提としている
ドルコスト平均法は「中長期堅実投資型」の投資方法なので、長期的な運用を前提としている商品に向いています。 短期期間で収益を得たい場合や結果を出したい場合は、他の方法を選ぶようにしましょう。。
まとめ
ドルコスト平均法が向いている商品
- 価格変動がある商品
- 長期的な運用を必要とする商品
一度に全部買うのではなく、毎回定額で継続買いすることだよ