暗号資産で大損する罠を刻め!

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ビットコイン・チャート

暗号資産に少しでも興味がある人は、同時にその奥に潜む深い罠の存在にも意識が行っているはず。 今回は、私のまわりで実際にあった話を、多少はぼかしながら暴露してみます。

結論から言えば、いいことと悪いことの差が大きすぎるのが、この暗号資産(仮想通貨)です。

仮想通貨って、やばい感じがぬぐえないんだよな・・・

値がりが異常で身震いした相場!

友人のA氏(CADオペレーター)は、2016年8月に狙った宝くじを買いそびれて、やけくその2万円で始めたビットコインが約530万円の利益になりました。

A氏はビビリ体質で、宝くじすら基本的には少額しか買いません。大体は一万円以内でしか買わない人です。たまたま購入したビットコインも口座に入金した金額が3万円ほど、全部使うのが怖いので2万円でおさえたというのが本当のところです。ちなみに、1BTC=6万円のレートでした。

2016年半ばは、仮想通貨(暗号資産)であるビットコインに投資をする人が急増していました。 当時は中国で人民元安が進んでいたことを受けて、中国人がビットコイン投資に殺到していました。ヨーロッパではイギリスのEU離脱懸念が急浮上し、金融市場が動揺、欧米の投資家たちの資金はビットコインに入っていった時期です。

ビットコインは1ヵ月で1.5倍に急騰し、投機目的の投資家の注目を引いていました。 さらに追い打ちをかけたのが、同時期に米国の仮想通貨取引所と三菱東京UFJ銀行が資本業務提携し、ビットコインブームは熱狂します。 三菱東京UFJ銀行が仮想通貨市場(暗号通貨市場)に参入するという意味にとらえた投資家は、さらに投資額を増やしました。

改正資金決済法が施行(2017年4月)されて、仮想通貨の取引所が金融庁への登録制になり、法律ベースの環境整備が進み始めると、本気の投資マネーが本格的にビットコインへ流れ込みだします。

2017年初旬は1BTC=約10万円です。半年足らずで、倍近くにまでも上がりしたわけです。 ビビリ体質のA氏ですが、さすがに感極まり、この時点では手取り給料のほぼ半額である10~15万円でビットコインを買い増し始めます。A氏は1BTC単位で買い増す性格の人で、15万円以内でビットコイン一単位を購入していきます。積み立て気分で追加投資していきました。 ところが、2017年5月には1BTC=30万円を超えてしまいます。 A氏の予算では1BTC単位での購入ができない金額になりました。 そこで、A氏は初めて暗号資産、ビットコインの勉強を始めました

今聞けば、笑える話ですが、当時のA氏は暗号資産とFXトレードをほぼごっちゃにしている知識しかありません。もちろん、暗号資産の本質的なことなど考えてもいませんでした。

値上がりは、暗号資産の利息のように感じていたA氏ですが、2017年11月に1BTC=約100万円になると、武者震いが止まらない毎日が続いたようです。A氏が出資した全体の金額は、この時点でも30~40万円程度です。 一週間ほどして12月になると1BTC=約200万円を超えてしまいます。 A氏はビビリまくって怖くなり、12月10までには、全ビットコインを手放し、最終利益確定しました。最終的な投資全額の50万円ほどを除くと、利益は約530万円になったとのことです。

時期1BCの値段A氏の投資額
2016年8月6万円2万円
2017年1月11万円11万円
2017年2月12万円12万円
2017年3月13万円13万円
2017年4月14万円15万円
2017年5月15万円 
2017年11月100万円 
2017年12月200万円 
  53万円

実はA氏、2018年の正月休みに、暗号資産のことを勉強しシミュレーションしてみると、初めに50万円をビットコインに投資していれば、1,400万円程稼げた可能性があったことを知り、「実はそんなに儲からなかった、失敗した」と強欲なことを言っています。

私の知る限り、A氏は「億り人」にはなれていませんが、大成功者だと思います。 元手の50万円を一年ほどで530万円までにした人なわけですから。

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「億り人」になるは初期投資がどれほど必要なの?

私を含め、「億り人」っていくら初めに投資する必要があるのかという点は考えるところです。 先ほどの例では、暗号資産マーケットに資金が流入している時期でしたので、正直何を買っても値上がる時期です。 この時期には、「1ヵ月で数百万円稼ぎました」という人が続出し始めます。

例えば2017年9月から11月までは、1BCが37万円から200万円の範囲で値動きしています。この期間を長期投資期間として、買って寝かせても結果的に儲かったことは、後からわかりますが、多くの人は売買を短期的に繰り返しています。

当時は、まだ肯定的なイメージはなく、ババ抜きの「ババ」的な印象が仮想通貨(暗号資産)にはありました。 そのため、起きてからPCでビットコインを買い、一日中PCに張り付いて細かく売買し、売り切ってから寝るという人も数多くいました。

ビットコインが高騰して買いづらくなれば、イーサリアムリップルという暗号資産が買われ、ビットコインと同様、価格が急騰しました。

ビットコインを含む暗号資産投資の特徴としては、1日のあいだに価格が何十万円も大きく動くことがあげられます。1BTCを買ってその日に売るだけで、1日に30万円、40万円の利益が出ることがあります。

知人のB氏(不動産業)は、趣味がFXトレードという人です。ギャンブルはやらない人ですが、FXはのめりこんでやっていました。 彼は2016年ごろに、FXが土日祝日にできないことに不満を覚え、仮想通貨取引(暗号資産取引)を始めます。

時期1ETCの値段B氏の投資額
2016年11月1,000円100万円
2017年1月1,100円 
2017年2月1,100円 
2017年3月1,600円全売却
2017年4月4,500円1,500万円
2017年6月39,000円 
2017年11月49,000円 
2018年1月136,000円 
  約4億

B氏は手堅い人なので、2017年3月に一度売却していて、この時点での利益は60万円ほどでした。 ところが、趣味でたしなんできたFX魂がうずくのか、売却後一週間とせずに1,500万円を再投資しています。2017年4月の時点では1ETCは約4,500円 でしたので、売却時の2018年1月の1ETC約136,000円で計算すると、約4億5,000万円ほどになります。 元手を引いても億単位の利益が出ていますので、「億り人」になれた例です。

いいことばかりのようですが、必ずしもそうでもないかもしれません。 まず、こんな短期間で30倍もの利益を出してしまうと、税金はバカにならないことはいうまでもありません。

また、B氏のようなしっかりした精神の人でも、2017年6月以降は、興奮とビビリが同時に一日中続いたなどと言っています。

それでも、手元に億単位の利益を残しているので大成功者ですね。

教訓

  • 儲けるのもいいけど、税金のことも忘れずに
  • 大きく儲けるにはそれだけの精神的負担もかかる

大損することもある暗号資産

ビットコイン投資がなぜ面白いかといえば、ネットゲーム感覚に近いところがあるからです。例えば「キング・オブ・アバロン」のようなスマホゲームの場合、数時間うたた寝している間に、自分の城が滅ばされるということがありますが、これととても似ています。

暗号資産取引というのは、24時間休み無しで年中行われます。 これは、自分が完全に眠っているときに、大きく価格が動くリスクがあるということです。 ニューヨークのマーケットが閉じるまで起きていようなどという、簡単に対応法が使えません。

例えば2018年1月はいきなりビットコインの価格が下落する相場があり、寝ている間に大きく失った人も多かったはずです(逆に空売りして儲けた人もいるかもしれない)。

友人の投資家C氏(飲食店経営)は、家業の買い出し中(早朝)に、自分の所有する暗号資産の大暴落にあい、数日は沈み込んだままでした。

普通は寝ることをあきらめて、投資作業に没頭するような生活はできませんので、これはリスクでもありメリットでもあるという特徴になります。

大きく稼ぎたい夢はありますが、やはり暗号資産はギャンブル的要素を取り除けません。

余裕資金で行うことは必ず守るべき鉄則です。

教訓

  • 暗号通貨は、余裕資金で楽しむべし
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