残価設定型のローン(残クレ)をうまく使うには?

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残クレで車を買うんだけど・・・

残価設定型のローンをまず知ろう

自動車などに多い「残価設定型のローン」(通称:残クレ)ですが、ローンの支払いに悩む人には心地よい感じの雰囲気が漂うローンではあります。

残価設定型ローンって何?

よくある残価設定型(車など想定してください)のローン例でお話しします。

  1. 商品(車)を新車購入するときに、これから何年使って、その時点でいくらで下取りに出すか(残価率)を決める
  2. 新品(車)価格から、その下取り価格を引いた分を、分割で支払う
  3. 下取り価格は購入時点で保障されている

要するに、商品(車)購入と同時に、何年使用して(乗って)いくらで売渡すことを契約するので、未来の売渡し代金を差し引いた分だけを、ローンで借り入れるというイメージになります(実はココにも罠アリです!)。

借入金額がその分少なくなるので、返済額の負担も小さくなります。 また、下取り金額を保証してしまうので、例えば車のリコールが発生した場合なども含め、未来の下取り価格に影響が及ぶようなケースであっても、当初の契約通り、下取り価格は変わりません。

特に新車の場合は、ライバル社がより人気の高い製品を開発し、自分が購入した製品の人気が陰り価格が下がることがありますが、その場合でも安心です。

残価設定型は得なのか?

  • 270万円の新車を購入するケース
 通常の分割ローン残価設定型ローン
月々返済額35,800円19,000円
ローン返済後自分のものになる原則自分のものにならない

例の通常の分割払いは、48回分割払い(+ボーナス15万円を年2回)、利率3.5%としています。 残価設定型ローンは、4年間製品を使用し、100万円で下取りできると設定しています。 その他の条件は両者同じです。

残クレ(残価設定型ローン)で支払うと、毎月の返済額が抑えられるというのは事実です。 同じ270万円の商品でも、4年後の下取り価格(100万円)を保証してくれているので、270万円-100万円=170万円を分割返済すればよいからです。

残価設定型のデメリットは何か?

残クレ(残価設定型ローン)の最大のメリットは、月々の返済額が下がることです。 先ほどの例では、4年後に手元の商品を手放して、新しく商品を買えば良いことになります。

ですが、残クレにもデメリットは当然存在します。

残クレのデメリット

  1. 返却時の商品状態には制限がある
  2. 残価部分にも利息が付く(すでについている)
  3. ローン最終回でどうするか決断しなくてはならない

返却時の商品の状態には制限がつく

当然ですが、下取り保障がついている商品であっても、著しく棄損していたりすれば、下取り保障の金額にはなりません。 車なら、事故を起こしてバックミラーだけが焼け残り、そのミラーに下取り保証額の100万円が出るかといえば、出るわけありません

事故や、大きな傷がついているなどの場合は、誰でも下取り保証にならないことぐらい想像できると思うのですが、車の場合はもう一つ忘れがちなワナがあります。それは、

下取り期間までの走行距離が長すぎる

というケースです。

このような場合は、下取り保証対象外になります。

残クレの残価部分にも利息が付く

大きなワナですが、先ほどの例を見てみましょう。

270万円の商品を、下取り100万円保証してもらったので、170万円だけローンを組めば大丈夫

でも、そうではありません、利息は下取り保証してもらった100万円にもかかります。 170万円のローンには、下取り100万円保証分の利息も加算されて、トータルの利息ができ上がります。

要するに、利息そのものは初めの商品価格270万円にかかるということです。 下取り保証の100万円は免除されたりするわけではありません。

残クレのローン最終回で判断しなくてはならない

残クレの山場は、ローン最終回です。選択肢は3つしかありません。

残クレのローン最終回はどうする?

  1. 商品を返却する
  2. 商品を下取りに出して、新商品を購入する
  3. 下取り保障額を清算し、所有権を手にする

一つ目の選択肢は無難な方法です。商品(車)を返却してローンは終わりになります。

二つ目の選択肢も無難な方法ですが、新たに新商品を購入するわけですから、先立つものが必要です。新たに、商品について残クレを組むか、別のローンを組むか(あるいは一括で支払う、もしのはリース)など、考える必要があります。

残価設定型で後悔するケースはコレ!

三つ目の選択肢は、陥りやすい罠です。先ほどの例の4年程度の商品使用なら、特に買い替えるほどのことでもないことが多いため、残額を清算してその商品を手に入れてしまう、つまり所有権を持ってしまうことができます。

この場合、下取り保証の100万円については一括払いをしない限り新たに利息が発生します。例えば、分割で支払う場合は、今まで利息を支払ってきた下取り保証の100万円に対し、さらに新たに分割払いのローンにより利息がつくわけです。

つまり、利息の二重払いになります。

通常、なぜ残クレを利用するかといえば、月々の支払額を抑えたいという理由がメインのはずです。それを、残クレ最終回に、残りの下取り保証額分(残額)を一括払いできるかといえば、難しい場合が多いといえますね。

例外的に、ローン終了回をめどに、退職金が手に入るなどの計算をしているケースは問題ありません。利口な方法です。

残価設定型のローン(残クレ)はこう使え!

残クレのデメリットをよくわからずに、その罠に落ちると、無用にお金を捨ててしまうことになります。具体的に、残クレが活きるのは次のような使い方です。

残クレはこう使うと得!

  1. 期間終了後は商品を返却する
  2. 商品を下取りに出して、新商品を購入する

残価設定型のローン(残クレ)に向く人は?

残クレは、上手く使うことでそのメリットを活用できます。 毎月の支払額が減るというのは、シビアな生活をしている人にとってはとても重要な要素になります。

ローン期間終了後は商品を返却できる人

単身赴任などのケースが代表的ですが、車などを残クレで購入すると得することが多いです。ただし、何年間単身赴任になるのか、ぴったり予想できるとは言えないご時世なので、リスクはあります。

オススメな人は、大学生や大学院生(特に地方で車が主要な交通手段のケース)です。在学中は車(バイクなどでもいい)が必要だけど、その後は就職して、あるいは海外就職や留学して、居住地が変わる予定の人です。 わざと留年でもすれば話は変わりますが、必要な年数の見通しはたてられるので、手堅いローンということになります。

親が大学生の子供に車を買い与えるようなケースも、同様に残クレは便利です。 「学生の間は、車のローンは親が面倒見てやるが、卒業したら自分で何とかしろ」と残クレしておけば、卒業後の残額ぐらいは在学中のアルバイトで何とかできるかもしれません。できなければ、手放せばいいだけです。どちら背によ、卒業と同時に、残額一括返済するか、返却するかは子供自身に決めさせればよいだけですね。

今年はコロナのおかげで、この手堅い見通しもどうかと思う人もいるはずですが、その他のことに比べれば、まだ手堅いと思います。

資金繰りが厳しいのは、購入時だけといえる人

新入社員など、まだボーナスももらったことのない人の場合も、検討する価値はあるでしょう。 残クレ最終回で、一括払いするための資金を貯金していけばよいからです。 ただし、数年後転職している可能性などもあるので、気軽に考えない方がいいとは思います。 給料が毎年上がる時代とは言えませんので、慎重に判断しましょう。原則、ローン期間終了後は手放すことを前提にしておけば、大きく間違えません。

子供が続けて進学し、一時的に家計が厳しいようなケースも、残クレは有効です。

また、確実に退職時が決まっていて、退職金が手に入るメドがある人は、この残クレは利用価値があるといえます。

しかし、普通のローンはローン完了後は、自分の所有物になります。 ローンが多少長引いても、その商品自体の価値はまだ必要十分なことが多いでしょう。

一方、残クレでは、手放せばそもそも商品が手元を離れてしまうことになり、所有権を持とうとすれば、残額を支払わなくてはなりません。実質上、ローンとリースを組み合わせたようなシステムなので、ローン完了後に商品を維持しなくてよいということが、メリットになる人には有益な方法になります。

もちろん、買い替えなどを見越して利用するのは大アリです。車なら、数年間は排気量の抑えた自動車で我慢するが、数年後は大きな車に買い替えたい、というような積極的なプランとあわせるのもアリです。

残クレは得なの?

うまく使えばメリット大ありだよ!

残価設定型のローンで損するのは

  • ローン最終回で、残額をさらに分割して支払うこと!

残価設定型のローンが活きるのは

  • ローン最終回で、商品を手放すことにメリットがある人!